魔法高校編Ⅶ
「もう入っても大丈夫です」
「そうか」
再び扉を開けるとまだ頬を赤く染めて透と目が合うとすぐにそらす永原がいた。
「遅かった、ですね」
「先生との話が長引いてな」
「そうだったんですか、それはお疲れ様です」
二人は2階へ上がりながら話を続けた。
「雫さんは疲れていたようで寝てしまいました」
「みたいだな」
「そういえば今日の授業ですが、あとで透さんがいなかった授業の内容は送っておきますね。とは言っても初回なので授業という授業は少なかったですが」
「ありがとう、助かる」
「いえ、たいしたことでは・・・・ではまた明日、おやすみなさい」
「おやすみ」
永原は自分の部屋へと入った。
部屋の扉が閉まり切る前に隙間からはあくびをする彼女が見えた。
透はもう一度リビングへと戻った。
ソファアの背もたれに寄りかかりながら眠る雫の体を揺らした。
顔を横に動かすだけで起きそうなそぶりはない。
「雫、こんなところで寝たら明日の朝首が痛いって言うだろ・・・・」
声をかけてもやはり起きない。
仕方なく透は彼女のことを彼女の部屋へと運ぼうと抱え上げようとした時、突然通る自身の体に彼女の体が倒れてきた。
「戻ってきたな・・・・」
「もしかしてずっと起きてたのか?」
「そうよ、透なら魔法で寝てるか調べられるかもしれないから偽装魔法を発動して待ってたの、おかげで疲れたわ」
雫は透に抱きついたまま彼の胸の匂いを嗅いだ。
「女の匂いがする・・・・」
二人の間に少し間が空いた。
「女じゃなくて先生な」
「先生って真森先生?」
「そうだが・・・・」
「抱いたの?」
「そういう誤解を招きそうな言葉を使うな」
そう言って透自身の胸に顔を埋めた雫の顔を優しく胸から外した。
「ただ抱きしめただけ」
「本当に?」
「ああ、気になるなら先生に聞いてみたらどうだ?」
「何言ってるの、教えてくれるわけないでしょ。先生も生徒とハグしましたなんて言ったら立場が危ないことくらい理解してないわけがないでしょ」
「そうかもな、それより今は寝た方がいい、明日は学校だからな」
「じゃあ一緒に、寝て・・・・隣にいるだけでいいから、ね・・・・」
「わかったよ」
「ありがとう」
雫は満足そうな表情で礼を言った。
透の片腕を抱きしめながら2階へと向かった。
======
翌日の朝、雫は起きて時間を確認して思わず時計を二度見した。
時間は8時、登校していなければいけない時間までは30分しかない。
彼女は支度を得ると急いで雫を起こしに行った、だが部屋には誰もいなかった。
もうリビングにいるのでしょうか?。
そう思って次に透の部屋の扉を開けた。
「ひゃああああああああああああ」
突如、静かな部屋に悲鳴が響いた。
「す、すみませんでしたお二人のその、の・・・・・あああああすぐに閉めましゅ!」
驚きなあまりに言葉が途切れたり語尾がおかしくなっている。
慌てて扉を閉めた雫が閉める前に見たのは透と雫が同じベットで寝ている光景だった。
透は制服に着替えており、雫の方は寝衣がはだけたような姿で透に抱きついていた。
寝ているというよりはやはり、雫が無理矢理透のことをベットへと引っ張っていた、という方が正しいかもしれない。
彼女が扉を閉めた後二人のいた部屋は静かになった。
「多分勘違いされたぞ」
「別にいいわよ、でも流石にそろそろ時間かしら」
「あと20分ぐらいか、永原も待ってるだろうしもう行くぞ」
「わかったわ」
透は雫をベットに座らせつつ起きた。
「俺は先に下にいくから」
「ちょっと待って、すぐ支度終わるから」
魔法を使ってクローゼットに入っていた制服をとりだした。
宙に浮いた制服は風に運ばれるように揺れて彼女の手元へと運ばれた。
彼女は再び魔法を使った。
手の上に乗っていた制服は彼女が着ていた寝衣と一瞬にして交換された。
「行きましょっ」
持っていた寝衣をベットに放り出して透の手を引っ張った。
階段を下ると玄関に靴を履いて時間を気にしている永原が立っていた。
「お二人とも、さ、先ほどはすみません、勝手に部屋の中を見てしまって」
「大丈夫よ、だって」
雫は永原の耳に小声で話した。
「はっ・・・・そ、そうですよね。あああああ」
納得する彼女の顔は先ほどより赤くなり、その恥ずかしさを抑えるために彼女は小声で叫んだ。
======
「授業疲れましたね」
「ええ、一限から四限までずっと椅子に座って座学なんて疲れちゃうわね」
「確かにね、そういえば今日明と一緒に食堂で昼食をとる約束をしているんだけど二人の一緒にどうだい?」
「そうですね、せっかくですしご一緒させていただきます」
「・・・・透は?」
「俺も行こうか、昨日は先生との話が長引いて昼食すら食べる時間がなかったからな」
「それはなんと言うか、災難だったね。透は巻き込まれただけなのに」
「そうだな」
======
食堂に着くと明が六人席の近くで手を振っていた。
「席は俺が取っておくから昼食買ってこいよ」
「わかった」
遠くから聞こえた力のある声に光希返事した。
そして全員がプレートに昼食を乗せて明の取っていた席に座った。
「先に取っておいてくれて助かった、意外と混むんだな」
「昨日も来て知ってたからな」
「そうなのか」
「お前は食べないのか?」
机の上に明の昼食は置かれていたが彼がそれに手をつける素振りはない。
「まだな、もう少しでもう1人来るはずなんだが・・・・」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます