魔法高校編Ⅰ
「本当に大丈夫なんでしょうか?魔法を使えない私がDS式のクラスになんて」
「大丈夫、だって美織ははすでに何回も魔法を使ってるからね」
「それに学校にいるときは前と同じように魔法力を貸したままにする。すでに決まったことだ、永原が魔法を使ったことをあのテロリストたちが話してしまったのだから当然の結果といえばそうだな」
「早速先が思いやられます」
彼女の顔は何とも言えないものだった。
3人が歩いてしばらくすると周囲にも魔法高校の制服を着た2種の人間たちが見られるようになった。
桜は入学式の日に比べて少し散り始めている。
「ちょっと待ってよもう少しゆっくり!」
と、少し高めの少年の声が聞こえた。
透は足を止めて振り返った。それに気がつき雫と永原も足を止めた。
「よっ、透」
茶色い髪の少年と、その後ろに黒髪の少し背の低い少年が疲れた表情でいた。
「明か、おはよう」
「おう、おはようなそれに2人も」
「おはよう」
「おはようございます」
「明、後ろにいる、えっと・・・・」
明の後ろにいた少年は切らした息を整えてから話始めた。
「僕は伊多光希、よろしく」
「よろしく、それより大丈夫か?さっきはあんなに息を切らしてたが」
「心配してくれてありがとう、歩いていたら明にいきなり引っ張られて息が切れてただけだから今は大丈夫。君は?」
「俺は神座透」
「神座透・・・・明が言ってたのは君のことか。僕も反対の教室から窓越しに見てたけどすごかったね、あと透の隣にいる赤い目の」
「宮咲雫よ、よろしく」
「こちらこそ」
「もう一人は?」
「は、はい私は永原美織と言います。よろしくお願いします」
「よろしく」
5人は互いに自己紹介を終えると再び学校へと歩き出した。
「そういえば透たちは結局どっちにのクラスなんだい?」
「それはDS式かU式かってことか?」
先ほどまで穏やかだった透から強烈な威圧感が発せられた。
その場にいた雫以外の全員がそれによって背筋を凍らせた。
「・・・・すまない、少し」
透は一つ息を吐いて自身を落ち着かせた。
彼からの威圧感も消えてなくなった。
「俺と雫と永原はDS式のクラスだ、もしかして光希もか?」
「実はね」
「そうか、よろしく」
光希は自分の言葉が透の気に障ったことを気にして曖昧な表情を浮かべた。
「魔法が使えないのは俺だけか」
学校の正門に着くと明はそう言って2種の別れた校舎の片方へと向かった。
「魔法が使えても、得るものより失うものの方が多い」
透も自身の校舎に向かいながらそう一言つぶやいた。
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