クリアサーチオブジェクト編Ⅷ
「体調はどう?」
「まあ、大丈夫かな」
「そう、ならよかった」
二人が話しているのは透と雫が住んでいた家のリビングだ。
透が寝ているソファアの近くに座っていた雫は体を起き上がらせた彼に近寄った。
「少し抱きついていい?」
「・・・・優しくなら、まだ体が少し痛い」
「わかった、ありがとう」
背もたれに寄りかかる透に雫は優しく抱きついた。寄りかかっている彼の肩あたりに埋まった雫の顔、透は彼女の頭を優しく撫でた。
すると彼女の目から溢れた涙が彼の服に染み込んだ。
「無事でよかった・・・・」
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しばらくして透が自分に抱きついた雫を起こそうと体を起こすと、彼女の体はそのまま背中から後ろに倒れ始めた。
それに気がつき透は急いで彼女の背中を押さえた。
彼女はただ少量の涙を目からこぼして眠っていた。
そのまま彼女をソファアに寝かした。
「お前も無事でよかった・・・・相当頑張ったんだな」
そう口をこぼした透の目に映っていたのは傷ついた雫の細い手の指だった。
この傷は爆弾の解体時に着いたものだ。
目にかかった彼女の前髪を優しく外にずらした。
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痛む体を動かして2階の自室へと向かった。
部屋に入ると持っていたデバイスで電話をかけた。
「連絡が遅くなってすみません、水島さん」
「いいの、それより透くんの方は大丈夫なの?二つの魔法を破壊しないように分解するなんて無茶しすぎ。まあ成功したからよかったけど。それに爆弾も爆発しなかったし」
「爆発しなかった?それはどういうことですか」
「あーごめんね、私の説明が悪かった。爆発したんだけどその爆発が最小に抑えられたってこと、雫ちゃんのおかげでね。対DS式の爆弾だから周囲では魔法がほぼ使えない、そこで彼女爆弾に魔法をかけるんじゃなくてそれが仕掛けられた空間一帯を防御魔法で囲ったの。毎度毎度貴方たち2人には驚かされるは。あっそれと彼女はどう?」
「永原のことですか?」
「そうそう」
「まだ、今から様子を見に行こうかと思っていたので」
「そう、美織さんもよく頑張ってくれたは」
「そうですね」
「そう思ってるなら彼女に言ってあげて、きっと喜ぶから。じゃあまたね」
連絡が終わりデバイスを近くの棚の上に置いて部屋を出た。
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