クリアサーチオブジェクト編Ⅶ
「雫、そっちで爆弾の解除はできそうか?」
「つくりはさほど難しくないからできるわ、5分ぐらいあれば何とか」
透はデバイスで時間を確かめた。
「残り20分、爆弾の解体は頼んだ」
「こっちは爆弾が解体中に転移しないように何とかしてみる」
「わかった、じゃあ終わったらまた連絡する」
通信は切れた。
「永原、返してもらうぞ」
そう言って彼女の頭に自身の頭を合わせて魔法力を自分に戻した。
この行為をする度に彼女は顔を真っ赤に染めている。
突然透が彼女に手を差し伸べた。
「今からこの絡みあった二つの魔法を両者を崩さないように分ける。そのためにはUQ粒子の情報を読み取って一つ一つ処理しなければならない、その為には俺の脳だけで全ての情報を処理するには時間がかかる。だから永原の脳も借りたい、いいか?」
「はい、お手伝いさせていただきます」
「ありがとう」
彼女は差し出された手を掴んだ。
するとすぐに大量の情報が彼女の脳内に流れ込んできた。
永原は歯を食いしばる。
彼女の頭の中に透の声が断片的に響く。
これがあの人の頭の中にある気持ち。
透の額には汗が見える。
そこにUQ粒子の情報が読み取られたことによって生じる青い光が二人の顔と薄暗い地下駐車場を照らしている。
「美織、美織!」
「はい、何でしょうか!」
「透を止めて!そのまま全UQ粒子の情報を脳内でスキャニングしたら脳が焼き切れてしまうわ」
「そんな!神座さん!」
永原が焦る声を出して透の方に視線を向けてい
る。
その間に宮浦と雫の間で通信が行われていた。
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「宮浦さん、爆弾の解除は構造的に不可能よ。だから急いでこの建物にいる人たちを非難させて、私はここで爆弾の爆発をできるだけ食い止める」
「わかった、避難はこっちで進めとく。そっちは無理すんなよ、やばかったらすぐに逃げろ」
「努力はするわ」
そう言って彼女は通信を終え、額から冷や汗を垂らしながら慎重に魔法を展開し始めた。
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バタッ、と音を立てて透が背中から地面に倒れた。
「神座さんしっかりしてください!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
返事は全く聞こえない。
どうしたら・・・・こんな時私には何ができるの?
美織が自分の無力さに打ちのめされていると彼女の視界が徐々に閉じ始めた。
意識が・・・・・・・・誰か神座さんを・・・・・・・・。
そのまま永原も透と同じように地面に倒れ込んだ。だがすぐに彼女は再び起き上がった。
そして無気力で感情というものが感じられない、まるで機械のような喋り方で言葉を発した。
「生命維持活動に対する危険を検知しました、これより脳内にある情報体の処理を開始します」
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