クリアサーチオブジェクト編Ⅴ
「で?軍の用事って何なの?」
透はデバイスを取り出して雫に向けてメールを送った。
内容は彼自身が先ほどからしていることに着いてのことだ。
雫と永原はメールが送られると二人でデバイスの画面を覗き込んだ。
「爆!」
大きな声を出しそうになった永原の口を雫が押さえた。
永原が言葉を飲み込むと雫は彼女の口からゆっくりと手を離した。
雫は再びデバイスに視線を向けてメッセージで透と会話を始めた。
爆弾の種類は?
対DS式で指定された複数の場所を転移魔法で移動する。
私たちは何をすればいい?
爆弾とその転移先らしきものを探してくれ、見つけたら俺に知らせて。雫は2階、俺は1階で永原は地下の駐車場を担当してくれ。
美織1人だと犯人と鉢合わせた時危険じゃない?
犯人はおそらくこの建物にはいない、外に逃げる姿は確認した。だが念の為に永原にはあとで俺の魔法を分け与えとく。
わかった。
デバイスを閉じて階を下り始めた。
透は二人に通信用のイヤフォンを渡して宮浦に通信をかけた。
「宮浦、仲間が二人増えた。軍に属している宮咲雫のデバイスに俺のと同じ会議室なんかへのアクセス権を送っといてくれ」
「あいよ」
「ちなみに応援はあとどれくらいで到着しそうだ?」
「15分てとこかな」
デバイスで時刻を確認すると犯人の爆破予告の5時まで残り40分弱だった。
「どうにかしてお前たちで応援が来る前に見つけてくれ、じゃないとこの建物が吹き飛ぶかもしれない」
「そうだな」
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雫は2階に行き透と永原は地下に向かう階段にいた。
「永原、いいか?」
「は、はい」
二人は頭を合わせた。
「もういいぞ」
透の声でつぶっていた目を開くと初めて魔法を使った時に感覚で見た粒子でできた世界が現れた。
「何か身の危険を感じたらこの間と同じように防御魔法を発動させるんだ、それと今回は探知系の魔法も使えるようにしておいた」
「それは先ほど言っていた転移場所というものを見つけるためのものですか?」
「ああ、時間がないから手短に説明する」
そう言って透は魔法を発動させた。手のひらから七色の光が出る簡単なものだ。
「今俺が光を出した辺りを感覚を通して粒子で表された世界で見てみてくれ」
「周囲より粒子がたくさん集まっていますか?」
「そうだ、これが魔法の痕跡。永原にはこれを探してもらいたい」
「わかりました」
「頼んだ、俺は1階を捜す。何かあったらそのイヤフォンを通して教えてくれ」
「はい」
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