クリアサーチオブジェクト編Ⅲ

「4階に到着した」

「了解、ではこれより爆発物の捜索を開始する。透は4階の隅から隅まで歩き回ってくれ」

「了解した」


言われた通り複数の店が入っているビルの4階を歩き始めた。

店内や通路にいる客は普段通りの命の危機とは無縁の表情を浮かべている。


「4階は一通り歩いたが反応はあるか?」

「特に何もない、次だ3階に向かってくれ」

「了解」


透はエスカレーターを使って3階へと降りる。エスカレーター付近の店内には永原と雫が楽しそうに服を選んでいるのが見えた。


「3階に到着、再び捜索を開始する」

「了解、だが3階には4階と違って従業員が使える会議室などの複数の施設がある。入室権限のデータはお前のデバイスに送っておく」

「了解した」


4階同様に通路を歩いて空間にあるUQ粒子のデータを宮浦に送った。


「3階の一般エリアは異常なしだ、次に従業員エリアを頼む」


その後指示された通りにフロアを歩き関係者以外立ち入り禁止と書かれた扉の前に来た。


「その扉の向こうには5つの会議場と休憩スペースが一つ、一番奥にトイレがある」


透は扉を開いた。

廊下は冷たく、天井についた灯は一般フロアに比べて少し薄暗い。

透は次つ次に部屋の扉を開けていく。


「そこだ、反応がある」

「第四会議室か、見たところ室内には何もないが」


扉の反対の壁はガラス張りになっている。部屋の中央には長いテーブルとそれを挟む形でいくつもの椅子が置かれている。

透は会議室に入り扉を閉めた。

すると長いテーブルの陰から一人の人間が現れた。体格は細身でフードを被り顔は鉄の仮面で隠している。


「誰だ!」


透は戦闘体制をとった。

だが鉄の仮面をつけた人物は窓ガラスの方へと走っていく、そしてそのままガラスを突き破り下へと落下して行った。

透は急いで割れたガラスの方にいき落ちていった人物を確認する。

銀の仮面をつけた人物は器用に壁を蹴って近くの建物の屋根へと飛び移った。


「どうした、何があった⁉︎」


通信用のイヤホンからは宮浦の焦り声が聞こえる。


「何者かはわからないが魔法の痕跡が残っていた第四会議室に人がいた。そいつはガラスを破って逃げた」

「わかった、すぐに周囲を封鎖させて」

「無駄だ、奴はDS式だった。それも相当腕の立つな、建物から飛び降りた時、地面に落下するまでのわずかの間で魔法を二つの魔法を同時に使用した。一つは落下の速度を落とすもの、もう一つは跳躍、二つを組み合わせて離れたところにある他の建物に脱げた。すでに3キロ圏内にはいないと考えたほうがいい」

「そうか、なら今は爆弾の捜索を進めよう」

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