クリアサーチオブジェクト編Ⅱ

「言っただろ任務だって」

「すみませんでした」

「まあここに入ってきたのが誰かわからなかったとはいえ俺から殴りかかったことに変わりはない。俺も注意不足だった」

「それで任務とは?宮浦さんが任務中なのは確認しましたが内容は聞かなかったので、よければ教えていただけませんか」

「こちらとしてもあの神座透が仲間にいるのは心強い、わかった。内容を話そうか」


宮浦はデバイスを操作しながら話し始めた。


「今朝軍に爆破予告が届いた」

「爆破!軍は何をもたついているんですか、今すぐに民間人を避難させないと」

「だめだ・・・・爆破予告にはこう書かれていた。もし爆弾を仕掛けた建物から人を避難させたらすぐに爆破する、と。だから俺たちは爆弾を見つけて解除しなくちゃならない、それが今回俺たちに課された任務だ」


透に説明しながら宮浦は室内に置かれていた丈夫そうな箱から複数の機会を取り出してそれを組み合わせ始めた。


「それは?」

「残留魔法計測機、軍に送られてきた手紙から察するに犯人は反DS式、もしくはそれに近しい人間によるものだろ。普通のC4爆弾なぐらいなら普通のDS式でも防げる、となると仕掛けられた爆弾は」

「対DS式の爆弾、粒子錯乱式爆弾か」

「ああ、この機会は空間に残留するUQ粒子を測定して魔法の痕跡を測定できる。対DS式の爆弾は設置後の初期設定に魔法が必須だ。現場での使用は初めてだが実用化できるだけのデータはあるらしい」


組み上げられた機械はアンテナのようなものがついた四角い箱、その中には大量のデータを解析するコンピューターが搭載されており処理したデータを映し出すための画面が取り付けられている。


「俺はここで送られてきたデータを解析する、それに念のためだがこの機械を破壊しようとする者が現れたらそれをどうにかしなくちゃいけない。透にはこれを持ってこの建物全体を歩き回ってもらいたい」


そう言って宮浦が透に渡したのは通信用の小型イヤホンと薄い円盤のような形をした白い物体だった。

透はイヤホンをつけながら尋ねた。


「それで透のいる半径10mの空間にあるUQ粒子を観測することができる。だからそれを服の外側のどこかしらにつけていてくれ」

「わかった、聞き忘れたがタイムリミットは?」

「今日の午後5時」


透はデバイスで今の時刻を確認した。


「あと2時間か・・・・」

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