クリアサーチオブジェクト編Ⅰ

「さっきはびっくりしたけどこれからが楽しみね」

「そう言ってもらえるといきなり住まわせていただく私としては嬉しいです。しかも買い物まで手伝っていただいて、申し訳ありません」

「気にするな、今日は休みだ。それに二人で住むにしてはあの家は広すぎた」

「そうですか」


身の安全にためにも2人と一緒に住むことになった永原のための日用品を買いに3人はデパートへとやってきた。

ベットや棚、生活に必要なものは基本的に買い揃えた。

1回に降りて行く途中で永原が足を止めた。


「どうしたの?」

「いえ・・・・」


彼女は黙ったままだったがじっと店前に飾られた服を見ていた。


「買いましょ」

「いえ、これ以上お金を出していただくわけには、うわあああああああ」

「気にしないで、ほら行きましょ」


雫が永原の手を強引にひっぱり服屋へと進んでいく。

透はその光景を呆れたような顔で見ていた。


「透はその辺に座って待ってて」

「ああ」


エスカレーター付近に設置されている椅子へと腰を下ろした。

すると目の前を通り過ぎた一人の男に透の視線が向いた。

フードを深く被り顔はよく見えない、そこそこ背の高く独特な片足を引きずる歩き方。

そんな、稀に見かけそうな男に彼の視線が向けられたのは男のポケットからはみ出したものが原因だった。

軍の紋章が刻まれた対DS式の拳銃。その持ち手がパーカーのポケットから顔を覗かせていた。

ただごとじゃないと思った透はその男を慎重に尾行した。

フロアを1つ上に上がり、エスカレーター付近の椅子の下に置かれた紙袋を手に取りトイレへと向かった。

しばらくすると1人の警備員が出てきた。

透はその男を観察した。


独特な足を引きずる歩き方、しっかりとした体。

さっきの奴か。

再び後を追いかけ始める。

男は人目を気にしながら店と店の間にある細い通路に入った。

透が急いで追いかけると通路の奥には電子ロックのついた扉が設置されていた。

透は魔法を使って扉のロックを解除して中に入った。

直後に拳が飛んできた。

それをかわして殴ってきた男の胸元をつかみ空いたもう一方の手で魔法を使用し、圧縮した空気を男の腹に打ち込んだ。

床に押さえつけた。男は透の読み通り先ほど拳銃を隠し持っていた男と同一人物だった。

透の尋問が始まった。


「こんなところに軍人が何のようだ?」

「任務だ、信じられないなら上に確認したらどうだ?神座透」



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