入学式襲撃編Ⅲ

「・・・・すみません、よく意味がわからないのですが」

「悪いが細かいことを説明している時間はない、今は俺の言う通りにしてくれ」

「わかり、ました」

「ありがとう、じゃあまずは俺の真似をしてくれ」


そう言って透は互いに握りしめた左右の手を胸の前に持ってきて目を瞑った。

永原も真似をした。


「意識を集中させる、そしたらこの空間にあるUQ粒子が肌に触れる感覚、粒子が移動しているのが見える」

「はっ」


目を瞑った永原の目には粒子で構築された空間が見え、思わず息を呑んだ。

そして思った。


これが魔法を使える人たちが見ている世界。今までの、この人と出会う前までの私には見ることのできなかった世界。


「次に空間にある粒子を一点に集める、そしてそれを一気に解き放つ感覚で、とは言ったもののなかなか一度でできる奴は・・・・」

「できました・・・・か?」

「ああ」


どうやら魔法で障壁を展開した彼女自身も驚いている。

雫がそのドーム状の障壁を軽く叩いた。

金属を叩くような硬い音が鳴った。


「天才的なセンスね、初の魔法使用でここまでの障壁を創り上げるなんて」

「そ、そうなんですか?ありがとうございます」

「いざという時はそれで身を守ってくれ、もう上に向かう」

「わかりました」


手のひらに準備させていた魔法を2階の階段付近にいたテロリストに向けて透が放った。

男はそばに倒れた。

新入生である1年生の教室は最上階である4階にあるため3階も2階と同様に一人だけが階段付近に配置されていた。

それも倒して4階に上がり慎重に周囲の様子をうかがった。

3人から見える範囲ではDS式とU式が分けられ、それぞれ教室に入れられていた。

DS式の居る部屋には粒子錯乱装置と呼ばれる魔法の使用を困難にさせる装置が置かれており、室内にいるテロリストはアサルトライフルを保持している。

U式の居る部屋には数人のテロリストとそのリーダーらしき男がいた。

透は現状を確認すると再び魔法を使用した。


「これで今はこの二つの部屋と廊下で何が起こっても周囲が気づくことはない、魔法によって音が遮断されている。俺はリーダーらしき男の方を、雫と永原はDS式の方を頼む」

「わかった」

「3、2、1、行くぞ」


3人は二手に分かれた。

階段から飛び出してきた彼らに教室の扉の前に立っていたテロリストが気がついた。



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