入学式襲撃編Ⅳ

「止まれ何者だ!」


テロリストは手のひらに展開した魔法を向かってくる透に向けた。

だが準備した魔法を使用する時間は相手に与えずテロリストを制圧し、すぐに教室の扉を開いた。

その瞬間、教室内から複数の魔法が透に向けて放たれた。


「やったか⁉︎」

「ああ、魔法は直撃したはずだ。これで立っていたらもう人間じゃない」

「・・・・」


攻撃を仕掛けた4人のテロリストが盛り上がっている中、リーダーらしき男は黙ったまま硝煙に包まれた扉の方を見ていた。


「まさか・・・・」

「あれだけの魔法攻撃を受けて傷ひとつないなんて」

「こんなの、本当に人じゃない!」


硝煙の中から立っている透の姿が見えてきた。

煙が完全に消えると透は目を開けて4人のテロリストに反撃を始めた。

まずは相手の近距離に近づいて何らかの攻撃魔法を放つ。

他から飛んでくる魔法は彼の周囲一帯を覆う透明な壁によって防がれた。

それを繰り返してあっという間に4人のテロリストを倒した。


「残りはあんた一人だが、どうする?」


そう言われた男はデバイスで隣の教室の様子を手に取ったデバイスで確認した。

男の顔が動揺した。


「粒子錯乱装置を壊さずに俺の仲間を制圧したのか!」

「それで?降参するか?」

「そうだな、やはりお前たちのような奴らに関わるべきじゃなかった」


リーダーの男が諦めたように差し出した両手に簡易的な拘束を魔法で施した。

すると雫と永原が透のいる教室に入ってきた。


「こっちは終わったよ、雫もいたから軽く眠らせたような感じだけど。拘束は?こっちは終わったけど」

「俺の方は今からだ。終わったら俺たちと同じ新入生と教員の拘束をといて」

「わかった、それは私がやっとく。透は先に美織を元に戻さないと」

「じゃあ頼んだ。永原、ちょっと来てくれ」

「はい」


二人は教室を出て今日は誰もいない校舎の3階に行った。


「再びすまない、もう一度だけ借りるぞ」

「え、あっはい・・・・」


永原に魔法を使用させた時同様に互いに頭をくっつけた。

彼女は体全体から何かが抜き取られるような感覚を感じた。


「もう大丈夫だ、ありがとう」

「いえ、こちらこそ」


透はデバイスを手にとって連絡を始めた。

その横顔を眺めながら永原は思った。


この人は何者なんだろう。

魔法を一生使えることのできなかったはずの私に見ることのできなかった景色を見せてくれた。

この人は今何を考えているのか?この人のそばにいたら次は何を見ることができるのか。


疑問や空想が無数に広がり彼女の頭を埋め尽くした。

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