第6話

ー準備中ー

「さて作りますか。まぁあんまりルー自体辛くしないし大丈夫とは思うけど、それじゃあーー」

とりあえず、鶏肉、玉葱、人参、シメジ、じゃがいもと市販カレールーを冷蔵庫から取り出す。

「白川は人参とジャガイモの皮を頼むね、はいピーラー。」

「ん、分かった」

それじゃあそっちは任せて玉葱と鶏肉から処理しよう。

「白川、玉葱は何かをすると切っても目に染みない。なんだと思う?ちなみにゴーグルは無し。」

「それくらい知ってる、冷やすんでしょ?」

まぁ、冷やす方は、知っていると思っていた。


「正解、だけど今回は違う方法で、ちょ見とき?」

玉葱を洗い根を落としサッと流す。ラップにくるんで…

「え、それで切るの?」

「…違います、ラップのまま切りません!」

「冗談ですー!さ、流石にそれくらい分かります!」

んーホントかなぁ…かなり本気に見えたんだけど。気を取り直して、皿にラップにくるんだ玉葱を入れて電子レンジへ。

タイマーを30秒にセットしスイッチオン。


「へぇーこれで切っても目に染みないの?」

俺も初めて知ったときは驚いた。

「そそ、意外だよね。確か玉葱の何かが分解するとかなんとか。」

そうこうしている内にレンジがチンっと軽快な音を立てる。

「よいしょ。あ、これ少し熱いの通るよ。」

予め用意していたまな板の上に加熱した玉葱を置く。ラップを外し切っていく。うん、やはり目に染みない。

「ホントに目に染みない?」

隣の流しでピーラーを操って居た白川は興味津々なようだ


「ほら、ちょい切ってみ。」

「ホントだ、目に染みない。」

とそんなつもりは無いのかもしれないが距離が近く白川が見上げ、若干上目遣いになっている。 …色々といかん。

「あらぁーあんたたちぃ~お熱いわねぇ!」

と、いきなり様子を見に来た母親が茶化す。

「あ、あーもうあっち行った行った。」

油断も隙もない。

「はいはいー楽しみにしてまーす。」

目線を戻すと距離と距離が近いのに気づいたのか。また顔がトマトになっている、俺は平常心平常心……。


「…なんか騒がしくてごめんよ。あ、そうだ白川はピーラー終わったら、この棚から鍋出して貰っていいか?」

「う、うん!」

何故かちょっと恨めしそうだが放っておいておく。玉葱を切り終え、次は白川が下処理をしたジャガイモ、人参だ。

人参は白川に任せじゃがいもを乱切りで切っていく。適当な大きさに使う分を取り、下の方を落としバラして軽く水で洗う。鶏肉は皮を剥ぎ一口大へ。皮は細かく短冊切りにして容器に残しておく。

「ねぇその鶏皮って何に使うの?」

「そらちょっとお楽しみ、そういや鶏皮苦手じゃない?」

「ううん、結構好きだから何に使うのかなって。」

苦手な人もたまに居るらしく心配だったが、それは大丈夫だったかな。


「はい、問題二問目。この切った中で1番に入れる野菜は?」

「えーと確か…根野菜からだったような。人参とか、じゃがいもだったかな?」

まぁ学校では家庭科もあるしこれくらいは行けるか。

「そそ、正解。でも今回はフライパンに玉葱を多めにしてるから、半分先に入れます。飴色玉葱にするためね。」

「あーハンバーグの時とかにするやつ?」確かにハンバーグでもするな。

「そうそうあってる。あ、そうだ機会あったら今度は白川が俺に何か作ってよ。」

「え、でも料理そんなやったこと無いし。」

そういう事じゃないんなけどなぁ。まぁ白川にはちと遠回し過ぎたか

「まぁまぁ、味とかよりも、また料理できたらなって事。」

「また出来たらしたいなぁ。ってまだ今回すら完成してないけどね。」

「そりゃそうか、それじゃ、えーとこれ半分くらい水用意して貰える?」

と、電気ポッド渡す。同時にキッチンからケースを引き出し玉葱にターメリックを加える。


しっかり混ざるまで炒め、以前作った時短のための自作スパイスと大トマトを2つ入れる。

「え、なにそれ!何かやたら本格的じゃない!?」

「自作の方には7種類くらいスパイスが入っているけど、この全部がほとんどのスーパーに置かれているようなものだし、本格的に見えるだけなんだけどね。」

「へぇー何か凝ってるねぇ。」

そんなこんなでルーが完成、ルーの方は市販のもの一箱の半分と混ぜて最後に煮込む、一旦自作ルーを脇に置いて鍋で残りの玉葱を入れて人参、ジャガイモ、シメジ、鶏肉を入れ軽く炒める。そこでサラダ油も少々。後に入れた玉葱が柔らかくなり、他の具にも油が回ったらオッケー。


「白川、お湯沸騰した?」

「はいはい、してますよー。」炒めた鍋に沸かしたお湯を張りあとは市販、自作ルーをまぜて煮込む。その間にサラダかな。

そういや、アイツを忘れてた。

小さな目玉焼き用のフライパンを出して先程の鶏皮に塩胡椒を振り、小麦粉を着けてカリっとなるまで炒めていく。

「サラダに入れたら美味しいからあとで盛り付けよ。」

「発想もだけどホント器用…私、普通に女子力負けてる…。」

そんな言う本人も、割りと今日は髪型は若干いつもと違うし、さっき台所に立った時もハンカチを持っていた気がする。


「いやいや白川だって、色々してるやろ?」

「そ、そりゃ少しは気にしたけど。じゃあ例えば?」

んーそうだなじゃあ

「学校の時と髪型少し変えた?」

と思ったんだけど…

「すこし変えました。うん、これに気づくなら合格。」何となく機嫌が良くなった気がする。

「えーとじゃあ白川にはサラダを作ってもらおっかな。」

「はいはいーそれくらいなら何とか」


野菜室からトマト、レタス、キュウリを出してサラダを作ってもらっている間に、リビングの机の整理とコップなどの準備をしておく。

多少もたついていたが意外と手際よく下処理をし見栄えよく良く盛り付けていく、俺なんかは盛りつけはあまり気にしないが、女子はこういうのセンスあるんだなぁ。

「盛りつけ上手いね 。俺はあんまり気にしないタイプだったから。」

「仕事少ないんだからコレくらいやらないとね」

「まぁカレーなんて煮込むだけだから、今度もっと料理っぽいっていうかそれっぽいメニュー考えとくよ。」

「じゃあ、とりあえず鍋を気にしながら洗い物するか。」

「わかった。」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る