第4話

ホントにどうしてこうなった?

「ま、まぁ、良いじゃん?ほら、女子学生が男子の部屋に来てるよ?…ほ、ほら、勉強するんでしょ?」

「勉強はするけど、前後の文脈がイマイチ読み取れんよ、それ。」

 最初、俺の母親は目を丸くしていた。

「取り敢えず、お茶置いとくよ。あらら、あんたみたいなのに…ついに…」部屋を出る母は目を伏せていた。

時は遡る。


日曜日の朝、ふと携帯が鳴り、暇をしていた俺は携帯を開いた。

「こないだ教えたところ復習できた?」

とメッセージ。あー、そういや復習もしなきゃな、と、まぁそういうわけで今週から白川に数学を放課後に少しずつ教えてもらっている。その復習の箇所は苦手で、おっくうになっていた所だ。

「できない事は無いんだけど、ちょっとまだ微妙かな、っと。」

んーそろそろテストも近いし本腰入れなければ

「じゃあ今から暇なら教えようか?」

今日は特には予定はないし、もう少しくらいは備えておくかな。

「ありがとう、教えて貰うよ。それじゃあどこに集合する?」さてと、準備しようか

「今日が図書館休みらしくて、お家の人と坪井君が良ければだけどそっちに行っても大丈夫?」

…?ちょっと待て

「そっちって、俺の家?」

「そうだけど、図書館が今日は臨時で休むらしくて。」

まぁ理由は分かったけども。

大丈夫かな。うーん…。

「ちょっと待ってな。」


とりあえず母親だが。うーん…そのまま伝えたくないが結局バレるしな…。

まぁいいか。

「母さんすまん、今日家に友達入れて良い?」

「ん?はいはい、何人くらい?」

「1人。テストも近いし数学教えて貰う。」

「そうねぇ、国語はそれなりに良いけど、あんた数学致命的だからしごいてもらいな。」と快活に笑う母

「まぁ放課後はそうしてもらってるよ。」

「あんた勉強なんて珍しい。」まぁこっちも色々あるんだ。

「教えて貰うなら多少は点上げなきゃなと思っただけ。」

「そりゃそうね。とりあえず分かったから部屋とか片付けといで。」

「はいはい。」


と俺は早めに切り上げて部屋に戻り白川に

「大丈夫そう。」と送った。

白川からは「よかった。じゃあ2時間くらい後で良い?」

「了解、っと。」

「おーい!2時間後くらいに来るから一応把握よろしく。」今度は母へと言うと

「はいはいー」と返事がある、これでとりあえずは良いだろう。まぁ十中八九来るのは男友達と思っている事はさて置いて。



まぁ全面的に目先の面倒を後回しした俺が悪いのだが。

白川が来た途端に母は「…あんた…」と絶句。

「お、お邪魔します。」

母は困った顔をした。

「あらー…えぇとそうね、何か変なことされてない?」

いや白川に対する一言目それかよ。別に面白い事言おうとして言い淀まなくていいよ。変な事するわけないだろ。

「え?い、いえ、特にはされてませんから大丈夫ですよ?」

「まぁ上がってどうぞ…この意地の悪い人は放っておいていいから。」

事前に言おうが言わまいが、どのみちこうなる気がしていた。

「あ、あっでもその…その…」

母は目をひん剥いた

「えっ!あんたホントに手出したの!?」

「誰が出すか。」母は俺のこと何だと思ってんだよ。

「い、いえ、学校では色々助けてもらってるので。えぇ。」

えぇ、ってなんだよ。とりあえず白川を部屋に置いてこよう…うん。


「白川とりあえず俺の部屋そこだから先に入ってて、ほら。」

「はい…」真っ赤になった白川を部屋へ押し込む。

あれ?確かに絵面だけ見たら怪しいんでは?とも思ったが、今はそんなこと後回しだ。

「良い年したおばさんが、からかわないの。まったく。」

おかげで一瞬でトマトに大変身だ。

「まぁあんたが女の子連れてきたのは素直に驚いたけど、面白い子ねぇ。やっぱどっちにしても見る目だけはあるのね。」

「まぁ良い奴ではあるよ。で、どっちにしてもって?」

「友達でもって事よ?」

この厄介おばさん。ったくロクでもない。

「黙秘権。」

「はいはい、ほら待たせたらダメでしょ。今頃放り込まれて、あたふたしてるんでしょうから。」

「原因あんたなんだけどな。まぁとりあえず勉強してくる。」


白川はいい奴だが、恋愛対象として見ているか。見れるのかという問題は別だ。…実際に好きと仮定したとして、その好きだと判断できる境界線はどこなのか、何か理由があってなのか。普通一般的にそんなつまらない事は考えないか。

などと思考を巡らせて部屋に戻ると、白川が小さくなっており、今に至る。

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