第2話

放課後、白川が教員からの頼みごとを終え教室に帰ってきた。

「坪井君、今日は真っ直ぐ帰る?方向同じだし…途中まで帰るかなって。」

「そっちはいいの?最近ちょくちょく話してる子いたっぽいけど。」

「あーあの子たち部活入ってるから」

なるほど、そういえば白川は部活に入っていない。

あまり男子と二人とかそういうことを意識してないような様子で少しガクっとしたような、しないような。しかし特に予定もないので2つ返事で了承し、帰ることになった。


「そういやだけど、小耳に挟んだんだけど坪井君バレーやってるんだよね、いつからやってるの?」

なるほどバレーの件を聞きたいのね。

「んーそうだね、中学1年からやってるから3年くらいかな。」

懐かしいな…最初か俺も下手くそで、しょっちゅう半べそ掻きながらトスを上げる練習してたっけか。

「へぇー結構ちゃんとしてたんだ。何で続けなかったの?」

「この学校はそんなに強くないし、ちゃんと本気でするならする。中途半端な時間費やすなら健康程度で良いって思って。今は週2回クラブでやってる 」

まぁ見学に行った時に見たレギュラーの決め方の雑さやコーチの事なかれ主義が問題なのだろう。

「坪井君って変だね。」

ボソッと白川はつぶやいたが、一番あんたに言われたくはないよ。悪いね、青春してなくて。

「俺はこんなもんでいいんですよ。」

「っていうのも来週の体育では男女合同でバレーやるみたいだよ。珍しいね。」

「へぇ~てっきり男女別で体育やるのかと思ってたわ。」

今時中々珍しいな、男女別ではないってことはソフトバレーか、にしてもサッカーとかバスケじゃなくてバレーなんだな。そこも珍しい。


「そういや、坪井君は休日何してる?」

「はぁ…はい、うーん。そうだなぁ、俺は…土曜日はバレーと母親が仕事で晩御飯作ってるかな。友達って感じの人少ないからあんまり出歩かないね。」

「私もよく休日は部屋で本読んだり、あんまり出歩くタイプじゃないけど、料理とかはあんまり上手じゃないかな。得意料理とかある?」

得意料理か…そうだなぁ。あーある。

「ん~カレーとかは好きかな自分でカ◯ディーとかでスパイス買ってきて作ったりするよー。あと好きで作るのは肉じゃがとか回鍋肉かな。」

「へぇー…何か私女子力負けてない…?」

何か白川が白くなっている気がする。

カレーに関しては好きだからこだわってるだけだとは思う。


「でもそういう白川は勉強得意な方だろ?」

こないだの小テストはよく覚えてはいないが、確かクラスでトップ5には入っていたはずだ

「勉強はそこそこしてるけど、そんな言うほどは成績良くないよ、しかも特技ってさぁ何かね…」

トップ5で満足しない人が俺には理解出来ないんだが、まぁ確かに勉学は趣味特技ではないかも。

「せいぜい中堅止まりの俺には縁がない話だよ…。」

白川は意外そうに「坪井君は勉強普通なんだ、イメージ出来る方なんだけど。」

「うーん、中学から国語は勉強しなくてもそれなりなんだけども数学が酷すぎてね、結局数学の失敗をを国語で補充してるから、合計は良くても平均点くらいにしかならないんだよね。」

我ながら何だかなぁ…

「じゃあ次のテスト期間の時さ、国語の邪魔にならないくらいの点数になるようには数学教えてあげられると思うけど、教えてあげようか?」


勿論、復習や努力は必要だろうが、補填の勉強に白川が居れば今回は何とか乗り切れそうだ。是非とも教えてもらいたい。と、いうのもこの高校は、内申の付与がテストでの割合が多く、その内申の点数次第では連携大学に入学しやすくなることも相まって、そこそこ皆が頑張るという仕組みだ。


「そりゃ助かるよ。でもそっちにメリット無さそうだけど勉強の負担とか大丈夫?」

致命的なのでかなり嬉しいのだが

「うん、まぁ少しずつ日付分けて教えて行くつもりだから、こっちの負担にもならないし大丈夫だよ。」

今回は教えて貰う白川の面子と俺の間抜けを晒さない為ためにも少しキチンと勉強しなければ…

「ありがと、それじゃあお言葉に甘えるよ」

「試験は来月辺りだから来週から時間空いてる放課後にちょこっとずつ始めようか。ミッチリ教えてあげるよ」

白川の笑う顔に「…心臓に悪いな」と夕焼けの空にボヤいた。


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