支配
「・・・!!あ”あ”あ”、があ”がぎぎぎぎぎ・・・・・・」
突然、全身に強い電流が走った。僅かに許されたあなたの世界である目や口が見開き、全神経、身体の内部から電気が放出されたかのように痺れて、自身の支配からどこかへと消えた手足が痙攣しているのが見えた。
すると視界が少し上へと上がった。どうやらあなたは立ち上がったようだ。足の筋肉の流動や自分の体重の重みといった感覚も感じない。まるで幽体離脱でもして浮遊しているように、身体が勝手に動き出し一歩づつ、一歩づつ、ブラウン管テレビの方へと進んでいく。
電流のショックで気が付かなかったが、いつのまにかあなたの頭部から光が照射されていた。その明かりは懐中電灯ほどの光量はなく、まるでスマホのライトのように小さいが手前は十分に照らされる光が、ヘッドライトのようにあなたの前頭部分から出されていた。
ブラウン管テレビがあなたの足元まで到達し、頭が強制的に下へと向いていく。首の骨が
ギリギリギリ・・・パキ・・・・・・
首や腰が凝った時に鳴らすような破裂音が耳の奥に鳴り響く。
ブラウン管テレビは壊れていて、コンセントの線すら見当たらない。
身体が90度、左へと向く。その先には今の部屋から出れるような、戸がはまっていたであろう出口がポカンと口を空いてあなたを待ち構えている。その先は真っ暗で、あなたのライトでは照らしきれていない。
また一歩、一歩、ゆっくりとその出口へと向かう。
あなたは一刻も早くこの場所から出たかったが、無情にもあなたの身体は部屋から出ず、開け放たれた真っ暗の出口の手前でまた90度、左を向き室内を散策し始め出した。その歩みはまるでRPGでもやっているかのようなカクカクした歩き方で、そこであなたは考えたくもない思考にたどり着いた。
《あの、
突き当りまで到達し、また左へ。頭では必死に抵抗するが、それに伴うのは右目だけだった。
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