第4話 おっさんと女冒険者2
「いや、本当にゴメン! 慌てて手に力が入りすぎたみたい……」
ロリスは、女冒険者マリーに謝罪しながら、地面に深く突き刺さったツルハシに歩み寄る。
ズボッ!
そして、軽々と引き抜いた。
その様子を見ていたマリーは、ロリスの姿を目で追いながら、彼の体つきを上から下までじっくりと観察し、心の中でつぶやく。
(この男、よく見るとすごい身体してるわね? 筋肉がまるで古代彫刻みたい)
冒険者を長くやっている女性のほぼ全員が、旅先で出会う男に期待などしない。
経験豊富な女冒険者たちは、旅先で出会う男性に対して期待を抱かないことが多いのだ。それは、ロクな奴がいないからである。
しかし、奇跡的に自然体で力強く、頼りがいある男性がマリーの前に現れた。
おっさんだと思っていた顔は、良く見れば彫りが深くて濃いだけで、若さとしては20台中盤ぐらい。人間なら中の上合格ラインである。
吊り橋効果なのかマリーは直感的にこの男性にトキめいて、一目惚れという感情が芽生えた。
「あ、私こそゴメン。助けてもらったのに暴言吐いちゃった。ええと……改めて感謝しますありがとう。あなたが来てくれなかったら、私は死んでたかもしれない」
『ニコッ』と、精いっぱいの笑顔を作る
先ほどまで勇ましかった女性が、
「いや……助かって良かった……た、立てるか?」
「ええ、ありがとう。……あっ! 痛っ!」
「ん? どうした? 足を痛めたか?」
「うん。足をひねったかな? ちょっと一人じゃ立てないから、肩貸してくれる?」
「わかった」
「うっ! このままだと痛いわ。もう少し体を預けていい?」
「ああ、いいぞ?」
「ちょっ、ちょっと! 俺は汗だくでホコリにまみれて汚れてるから、そんなにくっつくと汗や汚れが付いちゃうよ?!」
「大丈夫、大丈夫。働いている男性の汗は好きなの私」
そう言うと
なんだか突然積極的になった
「あっ! そうだ! あなたの剣、さっき弾かれたよね? 回収しなきゃ!」
(えっ、ウソでしょ?! あの筋肉質の大きな体で、この身のこなし? とんでもない逸材じゃない?!)
その見事な身のこなしに、桃色一色だった
その時、当人は、盾を持った少女を先頭に、武器を手にした数人の男たちが走ってくるのを見つけた。
「おーい! こっちだ! おーい!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます