しどろもどろ

崑崙虚 太一

 しどろもどろ

 小学生のころだったか


 何の話し合いだったかは忘れたが

 学級会でみんなが意見を出し合っていた

 

 自分の順番が回ってきて、自分の意見を言った


 …つもりだった


 みんなが首をかしげて自分を見ている

 

 こいつ何言ってるんだろ

 おまえ何言いたいの

 わかりやすく言えよ


 みんなの視線は 自分の言葉より饒舌だ


 何で自分の言葉が伝わらないのか わからない

 何が伝わらず理解されないのか わからない

 どう言えばわかってくれるのか わからない

 

 ついには しどろもどろになって

 何を言いたいのかも 何を言ってるのかも わからなくなった

 混乱して 怖くなって 寂しくなって 涙が出た


 先生がうまく取り成して 次の子が意見を言い始めた

 着席しても涙が止まらなかった 


 そのときの恐怖や焦燥は

 家に帰ってまんがを読んで大笑いしたら すっかり忘れてしまった


 ときどき能天気な自分の頭の悪さを ありがたく思う


   ―――――――――――――――


 この文章の意図するところも

 伝えられたかわからない


 あの時先送りした問題は

 今も変わらず 自分の目の前に横たわっている

 

 

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しどろもどろ 崑崙虚 太一 @konronkyotaro

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