三章  虹と雪の交差

 1  もやもや



 久々に大学で講義を受けている最中だった。弄っていた携帯がブルブル震えだしたのだ。

 ――1通の受信があります。

 ベラベラと喋っている教授に気づかれることもなく携帯を操作し、メールを見る。


 差出人 せっつ

 タイトル 暇

 本文 暇だよぉ(´・ω・`)


 昔から一緒に過ごしてきた幼なじみに対し、親しみを込めてせっつと呼んでいるだけであって、勿論実名ではない。

 霧霜雪菜(きりしもせつな)――それが本名。訳あって彼女は数年前からずっと病院に入院している。喋る相手は俺か担当医か看護師。時間を気にせずいつでもどこでもメールを送ってくるのはせっつだけだ。まあ、俺の方から『いつでもメール送っていいよ』って言ったから、しょうがないのだけど。暇だろうし、寂しいだろうし。そのくらいは、俺にも分かる。

 とは言え、どう返せばいいんだよ。

 送られてきた言葉の意味を何度も考えるけど……暇だからどうにかしろという解釈にしかできない。とりあえず相手にお伺いしてみますか。


V 俺どうすればいいのさ。


V こっちへ来いっ!

  ……来て下さい(´・ω・`)


 やっぱりなあ。とは思ったものの、日常茶飯事なので気にしないことにした。神とか仏とか、その辺の誰かが決めた予定調和なのだろうからしょうがない。


V すぐ行くよ。


 そう返信したとき、不意に声を掛けられた。

「誰から?」

 隣に座っている女子――萩原七恵(はぎわらななえ)に小声で尋ねられ、相手との関係を正直に答えるべきかどうかわからずに、俺はいつも言葉を濁す。

「ん。いつもの友達だよ」

 ふうん。と言って無言になる七恵。

 たまたま受ける授業が複数被っていて、なんとなく、気質というか性格というか――相性がいいからということになるのだろうが、気が付けば七恵と俺は、よく話す友達になっていた。

「ってことで俺抜けるわ。ノートよろしく」

「またなの? 最近多いよね」

 七恵の瞳はこころなしか潤んでいるように見えた。

「悪い」

 笑いながら手を動かし、ノートやペンを鞄にしまう。七恵にじゃあ、と告げた俺はそそくさと教室を出た。

 タクシーに乗って、病院を目指す。車中、手持ちぶさたになった俺は考える。

 最近、七恵は俺に対して注意を払っていると思う。正確に言えば、俺に送られてくるせっつからのメールに対して、だ。七恵のあの目を、あの瞳を見てしまうと、なんだか病院に行くのが悪いような気がしてしまう。たぶん、七恵は俺に好意を抱いている。自惚れとか自意識過剰とか、そんな言葉が脳裏に浮かぶけど、あながち間違ってはいないと思う。そして、俺に送ってきているメールの差出人が、普通の友達じゃないってことに――女だってことに気付いているのだろう。だから、あんな目で見てくる。自分が手出しできない絆で結ばれているのが、悔しいのか、悲しいのか、女の感情は分からないけど、その類の感情を抱いている視線だった。

 七恵は可愛い。もう少し垢抜けたら、とびきりいい女になるだろう。そんなことは容易に予測できる。俺が何かアクションを起こせば、七恵と俺の関係は変わっていくだろう。それだって簡単に予測できる。

 でも、それでも俺は七恵を選べない。

 だって、間違いなく、今せっつは一人でいるんだ。寝ているのか起きているのかは分からないけど……あの真っ白な、世界と隔離されたような空間の中にいるのだろう。それを思うと、俺はなんだか胸が痛くて、一緒にいてあげたくなる。俺はこうやって大学に通ったりして、友達ができたり、それこそ恋人だってできるだろう。でも、せっつには俺しかいないのだ。

 だから俺は七恵を選べない。

 ……ってなんで?

 自分の思考回路がおかしいことに気づいた。

 別に七恵と俺が恋人になったところで、せっつとの関係は切れないだろう。だって、共に過ごした時間があるし、それは強固な絆となっているはずなんだから。それなのに、なんで俺は七恵を選ばない。

 ……いや、そういえば昔からそうだった。女の子に告白されても、俺はせっつのことを考えて、断っていたように思う。

 こいつには俺しかいないんだ。だから俺が遠くに行っちゃ駄目だ。わけが分からない。別にせっつとどうこうなりたいとか、そんなことは思っちゃいない。好きなわけじゃないし、恋をしているわけでもない。それなのに、なんで俺はこんなに彼女のことを想っているんだろう。この胸の疼きは、一体なんだろう。

 もやもやとした気持ちは、ずっと消えなかった。


     ☆☆☆☆☆


 誰もいない、しんと静まり返った真っ白な病室。水分を補給するために刺した針から延びている点滴。すぐそこにあるのは小さなテーブルの上に置かれているであろうわたしの朝食。それはもう、とっても、酷く、空虚だ。

 ほんっと、朝起きられないなあ――

 ゆるゆると身体を起こそうとして、身体に鈍い痛みを感じた。でも苦痛と思うほどではない。どうやら薬は効いているらしい。

 最近、とても最近のことだけど、身体を動かす度に痛みを感じるようになってきた。その痛みは少しずつ大きく、強くなってきていた。それを和らげるために飲むようになった薬の……なんだっけ。鎮静? 鎮痛? よく分からないけど、薬の副作用でいつも眠いのだ。

 ぼんやりとした頭で朝食を食べようとするけど箸が進まないので、紙パックの牛乳だけ飲んだ。そしてわたしはこうちゃんにメールを送る。こうちゃんは、わたしの唯一と言っていいだろう友達で、小さいときから好きで、でも今は離れ離れで……。

 ああ、泣きそうだ。

 自虐的な笑みをこぼしてしまう。

 わたしがこんな病気になってしまったから、こうちゃんは恋人を作らない。

 誰々に告られたー。それがさあ、その子めっちゃ緊張しててー。

 なんて、面白可笑してくれるけど、本当はこうちゃんだって、恋人くらい作りたいはずなんだ。それなのに、作らない。

 それはわたしに遠慮しているからだろうと思う。わたしにはこうちゃんしかいないのを、こうちゃんは分かってる。だからわたしから離れられない。それを理解していても、わたしはこうちゃんにメールを送ってしまう。わたしは彼の優しさに甘えてしまっている。

 ううん。甘えている、なんて可愛いものじゃない。わたしは、ずるいんだ。

 自分のすべてを武器してしまっている。幼なじみという関係性も、今もゆっくり進行しているであろうこの病気も、全部だ。本当なら、一緒に高校に行って、大学に行って、授業を受けて、たくさんお喋りをして……。そうやって過ごしたかった。

 例えば、例えばだけど。

 こうちゃんには、好きな人がいる。本当はわたしが過ごしたかったような時間を、その大好きな誰かと過ごしている。でも、わたしからメールが入ってしまう。悲しみや怒りを表情には出さないで、こうちゃんは笑いながらその子に言うのだろう。

「友達からメール来て、呼び出されてさあ」と。

 心の中でがっかりしながら、それでも笑って、こうちゃんはその子に告げるのだろう。

「行ってくるね」って。

 全部、わたしの想像上の話だ。そんな馬鹿みたいなことを考えただけなのに、胸が痛い。たまに襲ってくる、身体中に走る激痛より、辛い、痛い、苦しい。好きなのに、好きって言っちゃいけない。だって、その言葉を言ってしまったら、こうちゃんが困る。わたしのことなんてどうとも思ってはいないのに。ただの、手の掛かかる幼なじみ、くらいにしか思っていないだろう。

 それに、分かってるんだ。

 わたしは、死んでしまう。

 今すぐなのか、もう少しなのか、まだまだ持つのか、分からない。分からないけど、普通の人の命よりは短いだろう。薬は少しずつ強くなっている。それでも治まらないわたしの症状。ただ進んでいくだけの病状。

 病院にいることしかできないわたしが、近い未来に死んでしまうわたしが、こうちゃんに好きなんて言えない。その言葉を言うことは許されない。胸がきりきりと痛む。

 好きな人に対して、素直に感情を表すこともできない。それなのに、『来て』ってメールを、自然に送ってしまっている。自然、というか、無意識に、というか。

 わたしは、目が覚めたらメールを送るようにしている。もし起きることができなくなってしまって。こうちゃんと話せなくなるときが来てしまって。

 そうやって、そのまま死んでしまったら、わたしは後悔するだろう。だから、後悔しないようにわたしはメール送る。私の最期の言葉は、こうちゃんに届いていてほしいから。

 わたしは、なるべく死ぬってことを考えていないようにして、頭の隅に追いやっている。とは言っても、心の奥底にある感情は、恐怖だ。死という、漠然的で絶対的なモノへの恐怖だ。

 メールが返ってくる。また送る。また返ってくる。頭でなんか、考えなくてもいい。心は、指は、自然に言葉を紡ぎ出している。


V すぐ行くよ。


 そのメール(言葉)見て、安心したわたしはトボトボとベッドに戻り、布団を被って目を閉じる。

 安心しちゃ駄目なんだけどなあ。

 分かっていても、割り切れるほど大人じゃない。思わず苦い笑みを浮かべてしまった。

「あ、来た」

 わたしの周りに流れている時間がゆっくりになっていく。またわたしは寝てしまうのだろう。

 幾度も味わってきた感覚だ。

 眠くなって思考回路が閉じられてゆく。覚醒しきれない意識が徐々に沈んでいく。

 起きて、こうちゃんを待っていたかったなあ。

 ――ぽた、ぽた。

 密閉されているはずだから、聞こえるわけがないのに、点滴の落ちる音が聞こえる。視界が歪んで、すべてが等しく混ざっていき、もやもやとしたモノだけが私の目にこびり付く。誰もいない、何もない、空白の世界へ沈んでいく。

「おやすみなさい」

 たぶん、わたしはそう言った。誰にも聞こえていないわたしの言葉。

 この真っ白な部屋(病室)に木霊して、静かに消えた。

 次も、こうちゃんにメールできますように。

 毎回そう思って、そこで意識が途絶える。

 今日もここでわたしの意識は途絶えた。


   ☆☆☆☆☆


 中途半端な街の中途半端な病院で、ボクは医者をしている。三年前にこの町に転勤して以来、ずっと担当を務めている女の子がいる。というか、その子のことを知ったからボクは病院(ここ)に来た。全身科医(ジェネラリスト)を目指す医師として是非とも診させてもらいたいと思った。だけど甘かった。ボクじゃあ、いや、はっきり言うとボクでも全く手立てが思いつかなかった。進行を遅延させることもできない。辛うじてできるのは対症療法。表面に出てきた苦痛を和らげることぐらいだ。

「あの子は、あとどれくらい……」

 そこまで言って、キリシモセツナの母親は泣き出してしまった。『あとどれくらい』と言って途絶えてしまった言葉の先など、すぐに想像できる。十年かそこらしかない医者としての経験だが、それでも分かる。

 あの子は、あとどれくらい生きられるでしょうか――

 途絶えた言葉に込められた、悲痛な叫びを汲み取る。だが、ボクに何ができる。想いを汲み取って、一体ボクに何ができるというのだ。

「正直、分かりません。あと数週間なのか、数ヶ月なのか、数年なのか」

 医者として、屈辱以外の何物でもない。

 キリシモセツナの命がどれ程持つのか、予測がつかない。そもそも病名が不明だ。進行性の疾患ということくらいしかわからない。

 身体の痛みは、少しずつ程度が強くなっているようだ。弱い鎮痛剤を投与していたのだが、もうそれでは間に合わなくなってきている。あまりこういう言葉は使いたくはないのだが、医者としての知識や経験ではない場所にある力――勘が告げている。猶予はない、と。

「何も、分かってないんですか!?」

 キリシモセツナの母親が突如として悲鳴のような声を出した。

「あまり根拠のないことを話すのはどうかと思って黙っていたのですが――ボク個人の考えですが、癌に近いかと思われます」

 母親の顔に疑問符が浮かんでいる。

「腫瘍はないですし、データ上はなんにも問題ありません。ただ、唯一の症状である身体の痛みは徐々に進行しています。このまま進行すれば……どうなるかは分かりませんが、身体によくはないことは確かでしょう」

 どうなるか分からない? 死ぬに決まっているだろう。だけど、言えるわけがない。

 自分の偽善者ぶりにうんざりする。

「そう、ですか……」

 そしてあからさまに肩を落とし、項垂れる母親。

 コレで何十度目の話し合いだろう。

 ――話し合いと呼べるモノでもないけどな。

 ここが自宅なら、ボクは自嘲気味に笑ってしまっていただろう。まあ患者の家族の前でそのような笑みを晒すようなことはないが。

 そろそろ、いい頃合いかな。席を立ち、丁寧に頭を下げる。

「本当にすみません。毎回こんなことしか言えず」

 この言葉を言うときに、ボクは本当に、自分の力不足を悔いる。

 何が全身科医(ジェネラリスト)だ。たった一人の女の子さえ救えないボクに医者を名乗る資格があるのか。

 そうは思いながらも、実際ボクが診察や手術をすることで、助かっている命があることを知っている。だから辞めるという選択肢を頭から消して、まだ続けている。

「……もう、いいんです。期待なんて」

 期待? 期待って、何に対する?

「どういうことですか?」

 既にこの親は、キリシモセツナの命を諦めているのだろうか。それともボク……?

「どうせ、このままずるずると生きて、少しずつ弱って…………最期には死ぬんでしょう!?」

 ピクッとボクの身体の中を何かが駆け巡った。ボクが持っている医者としての矜持に少しひびが入るけど、でも感じている怒りはそこじゃない。……それを、娘に言えるのか?

「それを、娘さんに言えますか? 親御さんである貴方が、セツナさんの命を諦めていてどうするんですか?」

「それを、命を望んで、あの子は救えますか!? 奇跡が起こるんですか!?」

 医者として、奇跡なんて言葉を、現実から目を背けているであろう言葉を使えない。

 それでも、ボクはこう思っている。

「奇跡は願っただけで起こるモノじゃない。奇跡は偶然じゃない。奇跡ってのは、それを願って信じて、動いた奴のためにある言葉だとは思いませんか? 少なくとも、諦めた人に舞い下りるほど安いモノじゃないでしょう?」

 気休めだ。だけど、言わずにはいられなかった。

 少しの間、母親はボクではなく、どこか虚空を睨んでいた。そして、ふっと息を吐いて、頭を下げた。

「ごめんなさい。少し疲れているみたいで」

 娘を想う気持ちが強いから、ボクに強く当たってくるのだ。本当に、この母親はよくできた人だと思う。助かる見込みなどほぼないのにもかかわらず、涙を流さずに、娘の前じゃ明るく振る舞っている。だからこそ、心は疲弊してしまてしまう。そんな母子のために、ボクだって、時間を惜しんで色んな文献を漁っている。寝る時間なんてほとんどない。

「……ボクも少し感情的になってしまいましたから」

 お疲れならしっかり休んでください。なんて僕は言って、母親を帰した。

 休めるはずがないことは分かっているが、ボクにはそれしか言えなかった。


 今日は当直だった。急患もいなければ、急激な体調変化のある患者もいなかった。何事もなく僕は帰れそうだった。夜中にインターネットを使って文献を漁るが、今日も収穫はなかった。

 本当は、キリシモセツナという一人の患者だけに対して、様々な感情を持つことは許されない。医者として失格だ。それはもちろん、どんな患者に対してだって、医者として本気で関わらせてもらう。そんなことは当たり前だ。でも、キリシモセツナに対して抱く思いは、他の患者とは違っている。

 それはおそらく、キリシモセツナの個人的なところを知ってしまったからだろう。

 キリシモセツナは、恋をしている。

 キリシモセツナは大抵、携帯電話を握りしめながら寝ているか、枕元にそれを置いているか、だ。

 激痛で気を失ったキリシモセツナの様子を見に行ったときだった。誰にも届かぬような声で、その部屋にいる誰もが気のせいだと思うくらい小さな声で、「好きだよ」と呟いていた。そのとき、握りしめていた携帯に書いてあった言葉がある。

 誰かからのメール――『今日は体調どう?』に対して、キリシモセツナは『大丈夫だよ。』と書いてあった。返信するボタンを押そうとして――そのボタンを押す手前で倒れたのか、そこまで詳細に予想することはできないが、そう書いてあったのだ。ボクは、それを一生忘れないだろうと思う。

 かなりの頻度でキリシモセツナの元に通っている男がいる。勘だが、キリシモセツナがメールをしているのはそいつで、キリシモセツナが恋をしているのも、たぶんその男だ。その男、カザナリコウスケには、ボク自身会ったことがあって、軽くだけど、キリシモセツナの病気について説明した。まあ、その男が好きなんだろうなあ。というのは、二人のやり取りを見たときに分かった。


 『大丈夫だよ。』と「好きだよ」は、全く意味が逆だ。

 好きな人なら、辛いよ、怖いよ、って言えるだろう? いや、言いたいだろう。

 でも、彼女は、『大丈夫だよ。』と書いた。

 好きなのに、素直に言葉を伝えない。伝えられない。

 それは自分が死ぬことを、とっくに理解しているからだ。キリシモセツナは、自分が死ぬことを前提にして物事を考えている。両思いになるかならないかはともかく、カザナリコウスケに想いを伝えた、その後のことが怖いのだと思う。

 好意を伝えるのと伝えないのでは、自分の死後に発生するカザナリコウスケの感情が違うからだ。伝えなければ、カザナリコウスケは何も思わないだろう。いや、悲しむとは思うが、それだけだ。伝えてしまって、二人が通じ合った場合、カザナリコウスケは、誰かを失う恐怖を覚えるだろう。そして、それはトラウマか何かになって、人を愛することに躊躇いを感じてしまうかもしれない。通じ合わなかった場合、彼は酷く後悔するかもしれない。なんで短い命だったキリシモセツナの告白に対して、うん、と言わなかったのだろう、と。

 要は、キリシモセツナは、カザナリコウスケと、対等でいたいのだ。同情させることも、困らせることも嫌ってことだ。そのくせ、頭じゃ感情の制御はできないから、無意識の内に「好きだよ」なんて呟く。


 ボクは、そんな不器用な、キリシモセツナという一人の女の子の恋を見届けたい。もしかしたら、恋なんて言葉ではないのかもしれない。キリシモセツナの夢、とも言えるだろう。

 医師になってから、ボクは自分に課しているルールがある。矛盾しているかもしれないけど、それは、あまり患者に感情を抱かないことだ。だから、名前をカタカナで覚える。本当は自分の担当する患者くらい、漢字で覚えられる。だけど、カタカナで覚えることによって、無機質なモノを相手しているように思う。それは結果として、ひとりひとりの患者の中身を消すことになる。性格や、家族や、恋人、それらすべてを消す。その方が、亡くなったときに、ボクが悲しまないからだ。最低だと思う。でも、これがボクの医者としての生き方だった。

 だけどボクは、それを破ってしまうかもしれないくらい、彼女を、キリシモセツナを救いたいと願っていた。



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