第25話

「はい!」と答えられて



振り向いたのは恋焦がれていた星であるようで




「はじめまして!ってはじめましてじゃないか!

でもはじめましてか?」


となんとも可愛らしい反応にまどかの緊張も解ける。



これが正真正銘の『はじめまして』のような


はじめましてじゃないような?



心の奥からわきあがる懐かしい感情と逢えたことへの嬉しさで泣きそうになるのを必死で堪えるまどか。





まどかはずっと『好きになった人がタイプ』の人間なのでもう好きだった星の容姿などどうでもよかった。




いや、どうでもよくない!

星はイケメンであった。




星が同僚に告白されたことを思い出し、

『こりゃ、告白もされるわ』

と内心思ったことは墓場まで持っていくだろう。



とびきり美味しいハンバーグのはずが、まどかは緊張ともはや何かわからない感情で味がしなかった。



『むしろ、ここのハンバーグってこんなに硬かったっけ?』



全然喉を通らないのである。

何回、咀嚼しても喉を通らない。


飲み込めているはずである

口からなくなっているのだから



しかし、時間がかかると言うか食べている感覚がない。




田中雄大との食事なんてなんともなかったのに。



なんてと言われているとも知らない田中雄大はたまったもんじゃないだろう。


知らないが仏である。




楽しく食事をしているはずなのに、緊張は襲ってくるのである。



心から好きな人と食事をするとこんなにも緊張するのか?




今まで好きだった人は本当は好きじゃなかった?

とさえ錯覚するくらい緊張していた。




会話はしている。

でもふわふわしている感覚がある。




なんて落ち着く声なんだろう。

と1人感慨深い気持ちになっている。







楽しい食事が終わって

帰ろうとなった時、星から






「遠距離になってしまうけど、付き合ってほしい」




と言われたことは覚えている。




「はい!」




と即答したことも覚えている。




あんなに恋焦がれた星は今日から晴れて

まどかの『彼氏』と言う座に君臨する。



まだ若い2人である。

これから先もいろいろあるだろう。



しかし、どんな困難が待ち受けていても

2人なら大丈夫であろう。




2人の間に咲く時期を待っていた花が咲いた。



これから先の2人に待ち受けている困難や分かち合っていくであろう幸せな出来事はまた違うお話で。





日本のどこかで今日も楽しく会話を紡ぐ2人は…






シアワセなのである。

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花咲く時期はいつごろか? ささらなみ @ponponta3

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