第22話

また連絡を取るようになった星とまどか。




星の中で何かが変化してきた。




ところへ撮影の都合で『東京』へ行く予定ができた。



まどかに伝えるべきか悩んでいた。




もう逢ってもいいような気もするし、このまま逢わないでやりとりだけを続けていくのもいい。



どうしたらいいものか星は悩んでいた。




こういう時に何かの『勘』が働くのが藍であった。



「花村くん、何か悩んでる?

よかったら相談のるよ?」




と星にとっては藁を掴む気持ちで藍に相談した。




藍はあっけらかんと

「私なら逢ってみるけどな?

どんな人か気になるじゃん!」



ごもっとも。



逢いたい気持ちがあるから悩んでいるのだ。




「でも一回逢うのを拒んでいるんですよ?」


と尻込みしている星に対して、藍は



「それはそれ、これはこれじゃないの?」




とこういう時女性のが潔いのかなんなのか?




「それとなく、東京に出張で行くことになったんだけど逢える?

くらいの軽い感じで聞いてみたらいいんじゃないの?」




と藍が言う。



「あ!でも絶対警戒されるから昼間逢うこと!」



とアドバイスまでくれる。



なんとありがたいことなのだろうか。



告白を断ったにも関わらずこうやって相談に乗ってくれる藍に感謝しつつ。




「今夜、聞いてみます」


とやや口が重めに答えて仕事に戻る。








夜になり、まどかにメッセージを送ろうとする。



『こんばんは』


と急によそよそしくなる。




『こんばんは』




とまどかの返信は相変わらず早い。




まどかは会話はテンポよく紡いでいきたい派だったので返信が早かった。






『実は来週、仕事で東京に行く予定ができてさ。よかったら逢えないかな?って思って。


まどかちゃんの前の誘いを断っておいて誘うのもわがままかなって思ったんだけど…』






とものすごく重い口どりで送る。





『えー!

東京来るんだ?

逢う?わたしがここで断ったら仕返ししたみたいだよね、笑』



とまどかは明るく返信をくれる。






逢うとも遭わないとも言わないまどかに少し悲しい気持ちになるのは自分勝手だなと思いつつも。




答えを詰めよりたい気持ちを抑えて、

普通を装い返事を続ける。



『もしよかったら、来週の昼でどこか空いてない?』




完全に詰め寄っている。




『週末は撮影でしょ?金曜日なら昼間空いてるよ』



と急に誘ったのに撮影のことにも気遣ってくれるまどかの優しさと自信がなかったから『逢わない』選択をした自分を悔やみながら





『金曜日よかったら、ランチしない?』





と星にしては自分から頑張るんだと自分でびっくりしながら指が踊る。




『いいよー、ランチするところは私がリサーチしておくね!』



まどかのフットワークの軽さとノリの良さに感謝し、ようやく2人は逢うことなかったのである。



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