第21話

すれ違ったと思ったまどかと星はまた繋がった。



星と連絡を取らない間、さまざまなことを考えた。



忘れたかったが忘れたことはなかった。



誰かと連絡をとっていてもしょうくんならなんて答えてくれるだろう?



なんて答えを送ってくれるだろう?



と考えていた。





また星と繋がるまでの時間まどかは誰にもトークアプリを再開させたこと



星らしき人と連絡をとっていることを相談しなかった。




というか誰にも言えなかった。



どう説明すればいいのかわからなかった。




またこうやって繋がった運命の糸はこの先どのような方向に進んでいくんだろうか?



星らしき男性とやりとりをしている時に男性(星)から男性にも心に傷があると聞かされた。



その傷はまどかほど深くはないのかもしれないが寄り添うに値するほどの傷であった。




お互いに心に傷を持った同士2人の物語は今日も紡がれていく。





『まどかちゃんって都会に住んでると思ってたけど、東京に住んでたんだね』






と星から唐突に聞かれる。



まどかと星としてではない時にいろいろ会話を紡いだ。



その時のことを言っているのである。



『そう、東京に生息してる。

息している。』



と軽く答える。



星が住んでる街とは比べものにならないくらい忙しない生活をしている。




『しょうくんの仕事って本当にクリエイティブな仕事だったんだね』




とまどかが何気なく聞く。





『そうなんだよね。クリエイティブな仕事してる。撮影ある時は忙しいし、撮影終わると編集があるし』





また星のことを知れた気がした。








星が突然、


『前にまどかちゃんに逢いたいって言われたのあったじゃん?

あれ、本当は嬉しかったんだよね。

でも、自分自身に自信がなかった。


だから逢いに行けなかった。』





まさか星の口からそんな言葉が聞ける日が来るなんて。




まどかは自分が逢いたいと言ったことで、星を困らせて傷つけて嫌われたと思っていた。





でも星の言葉がまどかの閉した心を溶かす。




『私も逢いたいって言っちゃってごめんね。

逢いたいとか逢わないとか関係ないよね。


こうやってまた会話ができてることが嬉しいことで、縁が切れなかったことが嬉しい』



まどかの本心であった。



素直に星に今思ってる気持ちをぶつけた。




星からはさらに優しい言葉が返ってくるのであった。




どんな人と話しているだろう?


どんな顔をしているだろう?



と気になってしまうのが人間の性である。




しかし、お互いに利害が一致しないと何もならない。


すれ違ったり、思いが交錯したりする。




まどかも星がどんな顔をしてるのか気にならないわけじゃない。




しかし、無理強いしても何も意味のないことだと学んだ。



愛おしい気持ちとまだ縁が切れることなく続いていたことが素直に嬉しかったのがまどかの心の中だ。



人の気持ちが透けて見えたら怖いことなのだが、見えないから人は人の気持ちに寄り添うことを重要として、そっと寄り添うのである。



寄り添って生きていくことは全員ができることではない。



寄り添えない人。

思いやりが持てないひと。



さまざまな人がこの世には存在する。




その中で縁が切れずにまた繋がることができたと言う真実だけでまどかにとってもう十分であった。

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