第16話
まどかは今日も相変わらず星と連絡を取り合っている。
そんな中田中雄大が、
「最近の大石さんってすごく明るくなったよね!
彼とはうまくいってるの?」
と聞いてくる。
「付き合っているわけじゃないので彼ではないです。私が好きなだけですから」
と手短に答える。
「どうして逢おうと思わないの?」
と雄大が疑問を投げかける。
「逢いたくないわけじゃないです。
でも逢いたいとか逢いたくないとか抜きにしてただ会話を紡いでいることが楽しいんです」
まどかの本心であった。
もう傷つきたくないという気持ちもあったがその傷つきたくない気持ちが逆に相手を傷つけることを学ぶのはまだ先のようである。
傷つきたくないと自分を自分で守っていると相手を逆に傷つけてしまうのだがまどかはまだそれに気づいていない。
早く気づくといいのだが、この気持ちはなかなか気づかないものである。
雄大と話をしながら星を傷つけていることに気づかず過ごしているまどかに幸せは訪れるのだろうか?
誰だって傷つきたくない。
自分が1番可愛いのである。
それは周知の事実である。
その壁をどう越えていくかがこれから先のまどかと星の問題であった。
お互いがお互いの気持ちを知らないまま会話を続けていき、この先逢うのか逢わないで
『恋』が終わるのか?
雄大は煮え切らないまどかに、
「逢いたいって言ってみたらいいじゃん!」
とついつい言ってしまった。
「…」
まどかは言葉に詰まる。
『逢いたくない』と言ったら嘘になるが
果たして逢えるのか?
星の気持ちもわからない。
雄大が続ける。
「好きでもない。女に時間かかる男いないから」
ごもっともである。
まだかも薄々気づいていた。
星がまどかに時間を割いてくれていることに。
さあ、まどかは勇気を振り絞って『逢いたい』と言うのか?
ずっとこのままでまどかの『恋』は終わるのか?
さあ?
どうするまどか。
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