第11話

トークアプリをお休みしているまどか。



『勝手に』失恋はなくなったがおやおや?



田中雄大がなんだか動き出したようだ。




「大石さん、今度の日曜日どこかいかない?」




と雄大が勇気を振り絞ったのである。



まどかはどう答える?




「日曜日ですか?いいですけど、もうデートはしませんよ?」




まどかは雄大に向けて軽くジャブを打つ。




ストレートを打ったつもりはないのに雄大にはクリティカルヒットになったようだ。




「この間は一方的に振った形になってごめんね」



「別にいいですけどね!勝手に振っていただいてありがとうございます」



まどかはすかさず軽いフックを放つ。



雄大もたじたじである。

このくらい言われるくらいは想定内であったがまどかのパンチは重さがあった。



『大石さんってこんな当たり強かったっけ?』


と雄大は内心困惑しながら日曜日に会える約束は繋ぎ止めることができたらしい。




そして日曜日…



まどかと雄大は映画に行くことになった。

まどかは小説の世界が好きなので、映画はあまり観なかったのだが、雄大の懇願により



今日は2人で映画を観る予定である。



2人は今話題の『推理漫画のアニメ化』された映画を観るようである。




手に汗握るようなミステリーに映画すら久しぶりなまどかは『映画もなかなかいいものだな』



と思ったのである。



「映画おもしろかったね!また機会があったら行こうよ!」



と雄大が言う。



まどかは



「ありがたいと思うんですけど、私たぶん好きな人いるんですよね。」



とやんわり断る。



「たぶんって何?」



と雄大も食い下がらない。



「私は好きな人がいます!」



とまどかは高らかに宣言した。



「でも逢える距離にいないんですよね」



と悲しそうな表情を見せる。


雄大は『このまま、恋の相談相手でもいいか?いいのか?俺。』


と心の中で葛藤すること数十分。




「大石さんの恋を応援するよ!これからはなんでも相談してよ。逢えない距離ってどう言うこと?」



まどかは丁寧にお礼を言ったあと全ての話をした。



雄大は

「なるほどな!わかった!」



とだけ言い、おし黙った。



まどかはこうしてなぜかわからないが恋愛の味方を手に入れることとなったのである。



雄大は雄大で考えがありそうだが。



応援するつもりがあるのかないのか?



みんなそれぞれに事情を抱えていろいろな悩みや葛藤を抱えて生きている。



つらいことも嬉しいこともたくさんある。


その中でも生きている。



みんなの想いは交錯してこれからの物語は続く。



雄大とまどかの恋は…雄大が応援すると言う形で終止符が打たれたようである。



「彼が幸せにしてくれない時は必ず俺が幸せにするからね!」




とかっこいいセリフを言ってから2人は別れた。



『幸せか…』



まどかはぼんやり星との『幸せ』について想いを馳せるのである。

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