第10話

どんな未来を想像するだろう?



恋人がいる未来。

家庭を持っている自分。

キャリアを積んでバリバリ働いているわたし。




様々展望を見せようもしている『未来』



さあ、今日もまどかと星の未来へのカウントダウンが始まる。




待っているのは幸せか



それとも?




まどかは今日も星と連絡を取っていた。

トークアプリをやめてから『勝手に』失恋することがなくなり平和に過ごしていた。




まどかに友達がいないわけではない。



今日のまどかは友達に会うようである。

まどかの親友の加奈子に会うのである。



加奈子とは小学生の時にいじめられていた加奈子に唯一優しさを贈ったのがまどかであった。



加奈子はおとなしい性格ではあるが、まどかの悩みにちゃんと応えてくれていた。



久しぶりに会う加奈子に今までの『勝手に』失恋の話をしたりしようと思っていた。



加奈子とはちょくちょくは会えないがLINEで連絡を取っていた。



普段の連絡手段も『文字』であるところがまどからしい。




10時にコーヒー店で待ち合わせた。



『久しぶり!元気だった?」




と連絡を取り合ってはいたが少し堅い挨拶をする。




「元気だったよ、まどかは?」




と加奈子が言う。





「元気だった!けどいろいろあったー!

聞いてー!」




といつも聞き役に回ることの多いまどかが息もつかぬまま話倒す。




トークアプリでの一連の出来事。

田中雄大とデートらしきものをしたが結局振られたこと。



今は星という心強い話し相手がいること。



加奈子は静かに聞いていた。



そして口を開く、




「勝手に失恋していった人たちって今どうしているんだろうね?」



思いもよらない言葉であった。




連絡も取らなくなったので知る由もない。




が、考えてみたらそうである。




『勝手に』失恋していった男性は今幸せになっているだろうか?




唯一、現状を知れるのは田中雄大だけだが

一応普通に同僚として働いている。



「田中さんは普通に元気そうにしてるけどね!

あとの人は知らないな!」



そう答えてコーヒーを飲む。




「その田中さんとはどうなの?やっぱり近くにいるからよくなったりしないの?」



加奈子の直球ストレートな言葉にコーヒーを吹き出しそうになる。



「たしかに、毎日顔合わせるし。仕事では先輩になるし、尊敬はしてる。でもそれだけだよ」



とまどかは答える。



「ふーん、じゃあそのトークアプリで知り合った、彼は?」






「しょうくん?いい人だよ!話も合うし、いろいろ聞いてくれる」



「へえー!好きなの?」




加奈子は直球ストレートをグローブめがけてまっすぐ投げてくる。




まどかは一瞬、いや永遠に答えに困ることになる。



「…」




「人としては好き何だと思う。でも恋愛感情かって言ったらまだわからない。

でも失いたくないって思ってる」



とまどかは答えるのが精一杯であった。




「答えなんて急ぐものじゃないし、このままでいいんじゃない?」




と優しく諭す加奈子にまどかはホッとした。




加奈子は学生時代に付き合っていた彼とそのままゴールインし結婚していたのである。



だから頻繁に会うわけではなく、LINEというツールで連絡を取り合っていたのである。




家庭を持っている加奈子に恋愛の相談をすると落ち着いた優しさが返ってくるのである。



『学生時代は同じように机並べて勉強していたのにこうも人生違うのか』



とまどかは内心思う。




まどかも決して人生がつまらないわけではない。



仕事も充実している。

彼氏はいないがそれなりに恋だってしてきた。



今はもっぱら『勝手に』失恋をするだけとなっていたが。



それでもモテると言ったらモテるのである。




結婚している加奈子が近くにいることで『結婚』を意識しないわけではないが、いつか結婚できたら『いいな』くらいの気持ちであった。

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