第9話

はてさて、お互いに心の距離を縮め合ってるようで縮まっていないのか



絶妙な距離感で今日も2人のやりとりは続く。




ある日のこと、星は何気なく

「朝、コーヒーを飲んだんだ」



と連絡する。



実はまどかもコーヒーが好きであった。

毎日ドリップコーヒーを飲むのが日課であった。


「どの豆が好き?」



今日はコーヒー談義に花が咲くようである。




「ブルーマウンテンが好きかな!」



と星から返信が来る。




コーヒー好きなら誰でも知っている高級豆である。



「〇〇っていうコーヒーメーカーで淹れてるよ」



星も何気ない毎日を知れることはまどかにとってささやかな幸せであった。



「私はそんなに高級な豆飲んでないんだけど」



と言葉を濁した。




別に話したくなかったわけではない。

なんとなく引けを取るんじゃないかと思った自分の心がちょっと嫌だったのだ。




星のほうは気にもとめてる様子もなかった。




星はとても穏やかでまどかが言葉を濁した時は深くまで追求してこないのである。




中には『なんで?どうして?』と質問責めにする人もいなくはない。




でも話したくないことは話したくないのである。



その点は星も深くは聞いてこなかった。



なのである程度のミステリアス感が2人の距離を縮めるような縮めないような?




その時を同じくして忘れていたトークアプリでぽつぽつ会話が続いていた男性がいた。



ほらほら、嫌な予感。



そうなのです!

その男性からも『勝手に』失恋することとなったのです。



もはや趣味『勝手に好きになられて勝手に振られること』



と名打ってもいいような見事な振られっぷりである。



『しょうくんとのやりとり楽しいし、トークアプリはしばらくやめようかな…』



まどかにとっては懸命な判断である。



この場にいろいろな人がいたとしたら



トークアプリやってるから見事に振られるんだろうが?



と満場一致で言われることであろう。




まどかはしばらくトークアプリをやめることにした。


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