第3話

相変わらずトークアプリで誰かと話をする日々を過ごしているまどか。



さてさて、今宵の話し相手はどなたですかな?


少し覗いてみましょう。



まどかが男性を選んで話しているわけではないので女性と話すこともある。



今日の話し相手は女性のようである。



どんな話が聞けるであろうか?



女性 30歳。

専業主婦だそうだ。


まどかは恋人がいないので、『結婚』というものが想像できなかったので専業主婦である彼女にとても興味を持った。



毎日の家事の話。

子育ての話。

たまに話す旦那さんの愚痴。


どれをとってもまどかには新鮮だった。



『結婚生活』ってこういう感じなんだ!


私もいつか結婚してみたいなとまどかをワクワクさせる話であった。



ある日、珍しく彼女の旦那さんへの愚痴が止まらないのである。



会話にならない。

私のことを愛してくれない。


愚痴はどんどんエスカレートする。



まどかは経験したことがないことだったが『聞く』ことはできるので聞いていた。



愚痴を全部吐き出した彼女は、

「聞いてくれてありがとう。スッキリした。」



と言った。

まどかは心からよかったなと思った。



「私、まどかさんの1番の友達になりたい」

と彼女は言ったのである。


まどかに友達が1人もいないわけではない。


社会という大きいコミュニティに所属している以上誰かとの繋がりがあって、まどかに少なからず友達がいた。



友達の1人として、毎日楽しく文字のやりとりをしていた。

しかし、文字を愛するまどかにとって少し引っかかる部分が彼女にはあった。


それは、彼女は文字を軽視する部分があったのである。


やりとりをしていて、

「所詮『文字』のやりとりだから」


とよく口されていた。


その言葉が出るたびにまどかは疑問を抱いていた。


文字に『温度』も『音』も持つと思っているまどかとの間に温度差が確実に生まれていた。



しかし、話をしていて『音楽』が共通の趣味であると言うことがわかった。



彼女は音楽を奏でることが得意で、音楽を奏でることにとても安らぎを感じると言っていた。


まどかは音楽を奏でることはできなかったが、音楽を聴くことと歌うことが好きであった。



『音楽』という共通の趣味があったので話は弾んだ。



どんな音楽を聴くのか?

どんな音を奏でるのか?


音楽好きの話は止まらない。

彼女は自分の奏でた音を送ってくれることもあった。


まどかは、学生時代にプロの音楽に触れる機会を多く持っていたので自然と耳が肥えていたのである。


正直、彼女はプロではないのでまどかの心を揺さぶるような音を奏でることはなかった。


プロとして第一線でそのことで『ご飯』を食べている人たちは違う。


そのことを意識するようになって『学生時代』の貴重な体験はまどかにとってとても大切なものになっていたと今になってわかる。


しかし、話は盛り上がる。

文字をぞんざいに扱う彼女を除けば。


そんなある日、突然…

「私はまどかさんにとって大切な友人?」


と疑問を投げかけられたのである。


まどかは返答に困った。

たしかに話していて楽しいが文字をぞんざいに扱うところがなんとなく自分の中で消化できずにいたからである。


しかし、それを率直に伝えるわけにいかない。


「ちゃんと友達だと思ってるよ」


と大人な対応をしたのである。


そのあとの彼女の言葉は

「私たち、合わないと思うんだよね。私の周りはもっと私に興味を持ってくれる。」



まどかは突然の言葉過ぎて理解に苦しんだが、

「ありがとうございました。」


と伝えた。


その後の彼女のことはまどかには知るよしもないが。


彼女の愚痴を聞いたり、奏でた音に感想を述べたり。


まどかはまどかなりに彼女とのやりとりに尽くした。


しかし、女性と話しても一方的に別れがきてしまう。


『1番の友達になりたい』って言葉はどこへ行ったのだろうか?


『女性と話しても結局別れがくるのならもう誰とも話したくないな…』


とさえまどかの心をえぐったのである。


さあ、また別れがきてしまったまどか。



女性と話しても男性と話しても別れがきてしまうのか?



そんなこともないのか?

いつかはまどかと話がずっと続く人が現れるのか?



それはまた次の機会のお楽しみにしておきましょう



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