第2話
まどかは『勝手に』失恋から立ち直り、相変わらず文字のやりとりを続けていた。
さて、今回のお話は恋に繋がるのか?
はたまた幻で終わるのか?
さてどうなる?
ある日のこと、まどかは文字のやりとりを楽しんでいた。
相手は22歳 男性。
職業はパティシエだと言う。
ケーキの魅力はどこか。
パティシエの彼が、ケーキを食べ歩きが趣味であること。
まどかの方もケーキに目がなくてまでとはいかなくてもケーキは好きだったので話が弾む。
ケーキの食べ歩きは趣味兼職業柄とても役に立っていると彼は言う。
正直まどかも、文字を愛するがゆえに文字でのやりとりが自分の人生に生きていると思っているのでその気持ちに深く共感できたのである。
仕事のためになるのならと研究熱心になるところにその彼に共通する部分を見出そうとしていた。
パティシエと文字を操る職業とは全然違う世界に生きているであろう2人が電波に乗せて今日も言葉を紡ぎ合う。
実際この2人が出会うとしたならば、ケーキ店でパティシエとお客様という立場が妥当であろう。
しかし、トークアプリというツールを使うことによってどこに住んでいるかもわからないまま言葉を対等に紡ぐことができる。
文明の進化は目覚ましいものがある。
実際は一生のうちに出会えるか出会えないかわからない人とと、『はじめまして』から会話ができるのである。
まどかもいつも会話が続くわけではない。
やはり文字のやりとりにも相性と言うものがあるようだ。
『はじめまして』から始めて全員と話が続くわけではない。
『はじめまして』だけで終わる人。
会話が単調な人。
うん、はい、いいえとしか答えが返ってこなくてインタビュアーに徹しなければいけなくなることもしばしばある。
なので会話を紡げる人は貴重な存在である。
そんな貴重な話し相手を見つけることができ、楽しく文字のやりとりをしていたある日のこと。
彼の方から唐突に
「結婚しよう!幸せにできると思う」
と言われたのである。
しかし、そのすぐあとに
「やっぱり無理だよね?結婚なんて!」
と言う自己完結の言葉が送られてきたのである。
結論から言うとまた、まどかはどこからともなく出てきた『結婚』の2文字に何も返答することがないままに。
またもや『勝手に』失恋をしたのである。
今回は付き合うことを全部すっ飛ばしてからの『結婚』という2文字である。
まどかが
「え?私はまた振られたの?」となるのも無理はない。
話が飛躍しすぎている。
付き合おうでもなく、いきなり結婚である。
しかも、まどかの答えを待たずして『答え』を自ら出すという。
まどかの気持ちを何一つ考えていない気持ちの押し付けのような、気持ちが抑えられなくて『結婚』の2文字が出てきたのか。
彼の気持ちはわからないが、まどかは2度目の『勝手に』失恋をすることとなった。
なぜにここまで勝手に自己完結されて『勝手に』振られるのか?
前世で、ものすごく男好きで男性を泣かせてきたのか?
今世で苦しみなさいというお告げなのか?
まどかの恋は成就するのか?
どんなに話が弾んでも、勝手に恋をされて勝手に終わる。
これからも繰り返すのか?
いつか『白馬に乗った』王子様とやらがきてくれるとか来ないとか大昔の本で読んだような。
ガラスの靴でも片方階段に落としておいたら
探しにきてくれるのか?
もうまどかの心は迷走に迷走し、砂漠の中を泳ぐような気持ちにさえなっていた。
さあ、今回も見事に『勝手に』失恋したまどかの幸せを探す旅はまだまだこれからである。
また続きがあるとか?
またの機会にお会いしましょう
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