第5話
あれから、半月が経つ。
毎日聖女の家へ行くも、毎度、聖女の不可解な態度に困惑し、すかされ、復讐は、全く上手くいっていなかった。
とにかく、向こうが私へ敵愾心を燃やさないので張り合いがない。
私の中で奥の手と思っていた、聖女の信仰する神を侮辱したり、教典を燃やす等の行為も全くの効果なし。
むしろ、神罰が下らないかを本気で心配され、最後には、 『ヴェンデッタのためなら、
戦って欲しいのは、私となのだが。
それに、元々の計画では、聖女から他の二人にも話が伝わり、恐怖を味合わせるはずだったのに、聖女は全く伝える気がないようだった。
理由を聞くと、『言うはずないじゃありませんか。ヴェンデッタが
そんなだから、行っても意味がないと聖女に会わなくなって、もう4日目だ。
私とディアベル、1人と1匹で話し合うもいい意見はでない。
「……そうだわ、この手はどうかしら」
そんな中、私の中に閃くものがあった。
「なんでずっと気づかなかったのかしら、あの家よ、あの家を攻撃すればいいんだわ」
「どういうことです?」
「あの家は、聖女が、魔王を倒したらマルス山の麓に住みたい、と思い続けて、ようやく住み始めた家なの。そんな大切な思い入れがある家を壊されたら……、どう思うかしら?きっと、あんな風な余裕ある態度を保つことなんて不可能だわ」
そうすれば、きっと、私を裏切った時のような醜い本性を曝け出してくれる。
ディアベルも賛同して、決行は1週間後。
聖女には、結界魔法がある。
今まで、物理的な壁としてしか使われていないが、あれは本来、結界の中に独自の
私といた頃はせいぜい『結界内では仲間の攻撃は当たらない』とか、それくらいしか出来なかったけれど、私を裏切り別れて以降、更に結界魔法が進化していないとも限らない。
邪魔をされないようにしっかりと力を貯めていこうという話になった。
その後も、ディアベルと話し合い、満足のいくプランを作ることができた。
「……今度こそ必ず。私が受けた苦しみと同じ苦しみを、受けてもらうわ」
1人呟く。
けれど、1つ大きな誤算があったことに、この時の私は気づかなかった。
聖女の家に行くのをやめて4日、さらに、決行がその1週間後。
つまり、計10日間も聖女と顔を合わせなくなる、ということ。
それが、聖女にどんな影響を与えてしまうのか。
私は1週間後、身をもって思い知るのだった。
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