第24話 『信じろ』


「やぁ。こんにちは。正徳。そして、雫さん」


全てが灰色になり三人以外の全てが止まった世界。

正徳と雫の目の前に突如として現れる赤髪に金色のポイントカラーを入れた赤色に輝く瞳の男。全能神、ゴアは二人を見て微笑む。


「え・・・え?」

正徳は状況を理解できずに困惑する。

雫は声も出ないようだ。


ゴアは少し浮き、二人の前に立つ。

そして二人の顔を覗き込むように言う。

「聞こえてないのかな?お二人さん。」

その言葉に二人はビクッとして、そっと口を開く。

「え、えーっと・・・あなたは・・?」

「俺のこと?俺はねぇ。神って呼ばれている存在だね。」

その神という言葉に二人は恐怖を覚える。

「なんで神様がこんなところに・・・?」

「そりゃ話があるからだよ。」

「話・・・ですか?」

「そう。特に正徳、君と話がしたい。」

今まで黙っていた雫が声を上げる。

「え、えっと・・私はどうすれば・・・?」

「あ、すっかり忘れてた」

その問いにゴアはハッとなる。

そして雫に近づく。

「なんで雫に近寄・・・」

「ちょっとだけ待ってて欲しいんだ。」

「え?」

「また呼ぶから。少し部屋を出てくれないか?」

そう言った時に、ゴアは雫の口元で何かを囁いた。

雫は少し頷いたように見えた。

雫は、少し動揺しながらも部屋を出て行った。


「じゃあ話をしようか正徳。」

「あんた・・・どっかで会ったことあるか・・・?」

ゴアは少し驚く。

「へぇ気づくんだ。すごいね。まぁじゃあ『ミラージュ』」

そう言ったゴアは前世の姿に変わる。

「え・・?あんたは・・!!」

「俺の元の名は暁月護愛。久しぶりだね。正徳」

「護愛・・・さん・・・?」

「そうだよ正徳。また会えて嬉しいよ。」

そう言って護愛は微笑む。

「なんで護愛さんが神様に・・・?」

「おっとそこらへんは聞かないでくれ。」

護愛は変身を解いて正徳に問う。



「正徳。君は朝倉姫乃のことを信じているか?」



ゴアの赤い目が一際輝く。

その目は正徳の内側を覗いているようだ。

その目に正徳は少し恐怖する。


「信じてるに決まってるだろ。なんでそんなことを聞く・・・?」


その答えにゴアはクククと笑う。

ツボに入ったかのように笑う。


「なんで笑って・・・」


「それで信じてるか・・・笑えるね!」

「何言って・・・」

「だからそれで信じてるって言ってることが馬鹿らしくて笑えるの!」

「俺が姫乃さんを信じてないって・・・?」

「そういうことだよ。お前は朝倉姫乃を信じていない。」

「そんなわけ「あるんだよ。」

ゴアは正徳を少し睨む。


ゴアは正徳に近づき怒りを露わにする。

「正徳。お前は朝倉姫乃を信じれてないんだよ。最愛の人なんだろ!?じゃあなんで生還を願って願って祈って祈って望まない??本当に愛してるなら信じろよ!!きっと目を覚ますって、そしてまた笑ってくれるって!!」

「っ・・・!」

「それをお前ときたら、正のせいでだぁ?姫乃さんとの幸せがなんだぁ??お前は朝倉姫乃が死んだ前提で物事を考えているんだよ。」

「・・・」

正徳は唇を噛んでいる。

「そんなやつが信じてるだぁ!?良い加減にしろよ!大嘘つき野郎が!!」

正徳は間違いに気付いたようだ。

「そんなにお前の姫乃さんを信じてるなら願って願って祈って祈って望んで望んで運命を変えろ。」

「どうやったら変えられるかな・・・?」

「考えて考えて考えろ。お前ならきっとできるだろうな。」

正徳は目を閉じて朝倉姫乃との日々を思い出した。


姫乃さんが笑った時。

姫乃さんが怖いことがあって怯えていた時。

感動的な映画を見て二人で泣いた時。

姫乃さんとの楽しい思い出。


(俺は本当にクソ野郎だな。)


そう思い目を開けると正が見えた気がした。

(ごめん正。俺が間違ってたよ。大好きな人を信じないなんて論外だよな。)

正は頷いた。

(俺は姫乃さんを信じて無さすぎた。そしてお前を信じて無さすぎた。)

『俺もごめん。正徳の気持ちを一切考えずに・・・』

(大丈夫。正は俺を思ってこう言うことをしたんだろ?なら、ありがとう)

『ごめん・・・ごめん!』

(俺もごめん!!)

そう言って二人は抱きしめあった。


少しした後、正は俺を見て言う。

『正徳。運命を変えるんだ。』

(あぁ。頑張るよ。)

そして世界は戻る。


戻ると正徳と雫がこっちを見ていた。

「やあ。終わったかい?」

「うん!もう大丈夫です。」

雫が正徳のそばに来て抱きしめる。

「正徳くん・・・大丈夫?」

「あぁ。もう大丈夫だよ。」

そう言った正徳の目は赤かった。


手を叩いた音が聞こえて二人は慌てて離れる。

「いちゃいちゃするのは良いけど、最後に言うことがあるんだ。」

「え?」

二人はゴアの方を向く。



「呪いで目が覚めないお姫様は何をしたら目を覚ます?」



そう言ったゴアはにっこりと微笑んだ。

「じゃあね。二人とも。」

そう言ってゴアは立ち去ろうとする。

その時正徳が、

「護愛さん。ありがとうございました!!」

そう言って頭を下げた。

その言葉にゴアは、

「どういたしまして。正徳の人生が良いものでありますように。」

そう言って消えて行った。


世界は色を取り戻し再び動き出した。


____________________________________________________________________________


どうもみなさん!!マヨきゅうりでございます!!


今回はゴアとの会話。そして正徳の覚醒でした!!

次はついに・・・!?


もしこの話は良かったな!って思ったらフォローや星、応援やコメントをよろしくお願いします!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る