第19話 俺はきっと・・・

俺と二階堂・・・いや、雫は店長に言われ、控室に入った。

控室に入った後も雫は泣いていた。

俺は雫の頭をずっと撫でながら雫が泣き止むのを待っていた。


20分後、雫は泣き止んだ。

雫はずっと俯いていた。

少しして、雫は俺の方を向いて、俺に問う。

「なんで、僕の頭を撫でてくれていたの?」

そう言った雫の目はこっちが辛くなるぐらい赤くなっていた。


「あんな状態の雫を放って置けるわけないだろ?」

と、少し顔を逸らしながら言った。

その時雫の頬は少し赤くなり、口を少し緩ませる。

「そっか、あの頃からずっと優しかったもんね。」

と、少し涙目になりながら呟いていた。


俺はそんな雫を見ていられず、そっと抱きしめた。

「しょう・・と・・くん?」

雫はまた少しずつ涙を流していった。

「ごめん。雫が泣き止むまでこうしてるから。」

俺はできるだけ力を入れず、安心できるために寄り添うように抱きしめた。

ただひたすらに雫の頭を撫で続けた。雫が泣き止むまで。

ずっと、ずっと撫で続けた。


それからも雫は泣いて、泣き止んで、また泣いた。

暗くなってきた頃、やっと雫は落ち着いたようだ。

俺は雫の顔をじっと見つめた。雫の顔はもう見ていられなかった。

俺は辛くなりながらも雫が泣いている間にずっと考えていたことを話す。


「雫。言いたいことがあるんだけど、いいかな?」

「はい・・・どんなことでも聞きます・・・」

雫の目は赤く染まっていた。

「雫。もし良かったら・・・」

俺は一度深呼吸して、その言葉を発する。



「雫。俺と・・・付き合ってくれ!俺は姫乃さんと雫で・・・一緒に幸せになりたい!」



「え・・・?」

雫は困惑している。そもそも雫は俺に突き放されると思っていたらしい。

でも俺がしたのは告白だ。でもそれはつまり、

雫に二股しよう!って言っているものだ。

雫が困惑するのも無理はない。


「え・・・?あ、え?な、なんで?」

雫はそんな言葉しか出てこなかった。

いくら最愛の人だとは言え、その相手に二股宣言されたら困惑するだろう。

俺は雫が落ち着くまで静かに待った。


少し経って、雫が口を開けた。

「それは私とその姫乃さんって言う人と二人と付き合うってことですか?」

と、雫が言う。まぁ当然の質問だろう。

「あぁ。俺は雫と姫乃さん。どっちもと付き合いたいんだ。」

そう言うと雫はすぐに返す。

「でも、その・・姫乃さんって言う人は賛成してくれるんですか・・・?」

と聞いてくる。

「多分賛成してくれる。姫乃さんならきっとね。」

と、確信があるように言う。


それから雫は俺に言った。

「正徳くんはなんで私のことを救おうとするの?」

雫はそう言ってきた。

俺は少し迷い、そして俺が思ったことをする雫に告げる。


「俺は姫乃さんも瑛人も佐藤さんも、そして雫もみんなみんな幸せにしたいんだ!」


俺は希望を見るように、でも絶望は見ないような、そんな目をしていた。

そして雫の瞳にも少しずつ希望が溢れてくる。

そうだよ。その目だ!俺はきっと雫のその希望に溢れた目を望んでいたんだ!

俺は雫の瞳が、大人っぽくてでも可愛らしいその顔が、俺のために変わってくれた君が、今はただ愛おしい。

あぁ。そうか



俺はきっと雫が好きなんだ。





『ありがとう正徳。その選択をしてくれて。』

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(神視点)


「なるほど。これは予想外だね。」

正徳と雫の話を聞いていた神達。彼の・・・いや彼らの選択に皆が驚いていた。


「まさか彼が告白するだなんてね。それも二股宣言するのか。」

ゴアは驚愕と共に少し感心していた。


「これは運命が変わるな。」

神の一人、運命神リリカがそう言った。


「ですね。これがいい運命になるかどうか。」

そう言ったのは月光神ケーカ。


「そうだねぇ。これはどう言う結果になるのか・・・」

太陽神のリーナがそう言う。


「まぁ大丈夫だろ。正徳ならな。」

ゴアはそう言って彼らを見る。


彼らにまとわりついていた赤黒の霧は少しずつ消えていっていた。

それは彼の運命が変わったということ。

すなわちハッピーエンドに近づいているということ。


「これは俺がどうにかする必要はないかな?」

ゴアはそう言うと、少し笑ってみせた。


そしてゴアは言う。

「正徳くん、ハッピーエンドはもうすぐだ。君の運命は君が決めるんだよ。」

そして彼らは引き続き彼らを見守るのであった。

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どうも!みなさん!マヨきゅうりです!名前変わりました!!


更新遅れてすみません!

モチベーションって大事なんですね・・・


さぁ正徳の運命は変わりました!

第二章もそろそろ終盤!

正徳と雫、そして姫乃はどうなるのか!!

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