第17話 昔犯した罪は成長してやっと気付くものだ。

久しぶりに見た二階堂は昔と変わらない、でも大人っぽさがある人になっていた。


二階堂は少し短い金髪をなぞりながら俺を見た。

「正徳くんじゃん!久しぶりだね。」

天使のような悪魔のような微笑みは俺に向けられていた。


対照的に俺は地獄を見るような顔をしていた。

(出会ってしまった・・・・!!

二階堂雫と・・・!

しかも、佐藤の前で・・!!)

俺は今ひたすらにこの状況を切り抜ける方法を考えていた。


二階堂が俺のそばに近寄ってきた。

同時に俺は一歩後ずさる。


「正徳。また会えて嬉しいよ。」

二階堂は頬を赤く染め、俺を欲しがるように舌舐めずりした。


「正徳くん?久しぶりに会ったのに挨拶も無しなんて辛いなぁ。」

その顔はただ俺を求め、欲しがる小悪魔のような顔だった。

俺は不意に目を逸らす。


「正徳くん?ちゃんとこっち見てよ?」

と、二階堂が俺の顔を強制的に自分の方に向けた。

その時、二階堂の顔が幸せそうに見えた。


そして二階堂は俺の目を見る。二階堂の目に底のない闇が見えた。ただ俺と言う存在を求める一つの闇。

それは俺にとってよく知る闇であり光だ。

だってそれは姫乃さんのような目だから。俺に完全に依存している時の目。


「あ・・・久しぶり・・だな・・・」

過呼吸でもなんとか話しかける。


それを見た二階堂は首を傾げた。

「なんで正徳くん、そんなに焦っているの?」

と、あの頃の二階堂からは想像のつかない言葉が聞こえた。

前の二階堂なら微笑みながら、俺を踏み倒してた。


昔とは違うかもしれないと希望を抱いた正徳は深呼吸をしてもう一度、二階堂を見る。

すると二階堂が、

「うんうん!正徳くんはやっぱりそっちの方がいいよ!」

と、俺の正常を願っていたかのような言葉を発する。


「二階堂、お前は前のようなことをするのか?人を虐めてたあの頃のようなことを。」

俺はそう、問いかけた。

「もう、やってないよ?中学ぐらいからね。」

と、二階堂が言う。


二階堂は自分の過去を思い出すように顔を上げ、目を閉じた。

「あの頃は本当に何してるんだ。って思ったよ。いつも間違って、この世で一番好きな人を虐めて、追い詰めて、奪わ・・・いや、追い越されて。」

二階堂は歯を食いしばるように苦い顔をした。


「実は僕、正徳くんと同じ学校なんだよ?それで変わった僕でもう一度正徳くんと関わろうって思ったんだ。」

その目には光があった。でもすぐに消える。

「正徳くんって付き合ってる人がいるんだね。クラスで話してる所を見て、やっぱり関わってはダメだってなった。」


上げていた顔を下げ、二階堂は俺の方を向いた。

「でもさ、ここで見てしまったら好きが止まらなくなってしまったんだよ。」

二階堂の顔には、かつて姫乃さんが俺と付き合う前、依存するように、離さないと強く願うように、愛がたくさん詰まった想いが見えた。


そして少しずつ二階堂の目から透明な雫が落ちる。

「正徳くん。僕はどうしたら良い?好きになる資格なんかないのに、正徳くんを好きになってしまった僕はどうしたら良い?」

と、顔をぐちゃぐちゃにして言ってくる。


俺は二階堂に寄り添おうと思った。

だって昔がヤバい奴だったとはいえ、俺もヤバい奴だったし、二階堂は俺のことを思って変わってくれたから。

少し、許せない気持ちがあった。でも許そうと思った。

だって『彼』が、俺に許そうってそう言ってくれたから。


そして俺は二階堂に近づこうとした時に、パンパンと音が聞こえた。

「はいはい。二人に何か合ったんだろうけど、こっちも仕事があるからね。控室の方でやってもらっていいかな?」

と、店長が俺たちにそう言った。

佐藤は心配そうにこっちを見ていた。

客はなんだなんだとこちらを見ていた。


そうだ、ここ店の中だった。

そして俺は二階堂を連れて、控室に向かった。


そこで佐藤が付いてこようとしていたが、俺はそれを止めた。

二人で話したかったからだ。

その間も、二階堂は涙を流していた。

____________________________________________________________________________


どうも!みなさん!未確認異常生命体 ゴアです!


今回は二階堂の気持ち回でした!

個人的に二階堂は結構好きなキャラなので負けヒロインは嫌なんだよなぁ。

ていうか、俺は負けヒロインっていうのが嫌いなんだよなぁ。物語上、仕方ないんだけどね。それでも自分の物語に最後に幸せじゃないキャラがいるのはなぁってなってます。だから二階堂は絶対にどんな形であれ結ばせる!

だから正徳と結ばれる運命をIFで出すかぁ?とか思ってます。

何か案があればコメントよろしくお願いします!


よかったらフォローや星、応援やコメントをよろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る