第12話 これは一つの愛の物語。

彼は違和感を感じ、下を向く。

そこには消え掛かっている自分がいた。

彼は自分の最後を感じながらも、彼は正徳に向き合った。


彼の目は、とても優しかった。

まるで悔いはないと言いたげなぐらいに。


彼は俺の目をじっと見つめ、

「正徳。多分俺はもうすぐ消えるよ。だって俺はあくまで君の仮面だからね。君が表に出てこればきっと俺も消えてしまう。」

と少し悲しそうに呟く。


そしてそこで正徳は気付いた。

彼の体が消え掛かっていることを。

でも不思議と悲しむことはなかった。


(俺は感じているんだ。俺と彼が一緒になることを。消えるんじゃなくて運命を共にするんだって。

自分でもわからないけど信じられないぐらいに嬉しいんだ。

多分この先も彼は俺を支えてくれるって確信出来るんだ。)

彼から見た正徳の目は希望で満ち溢れていた。


彼はそのことに困惑する。

「何を喜んでいるんだ?もうすぐ俺が消えるのに。」

彼がそう言うと、正徳は「確かに!」と忘れていたかのような顔をする。

「今の流れだと消えるのを喜んでいるように見えるね。」

正徳は彼の目をしっかりと見て、その口を開いた。



「俺とキミが一つになれるからさ!」


彼にはその意味が理解できなかった。

「何で?俺は消えるのに何で一つになるの?」

その言葉に正徳は笑って、

「俺がそう、確信出来るから!!」


その言葉を聞いて彼は少し笑い、

「なんだ、簡単な理由だったんだ。」

彼は笑顔を正徳に見せて、

「君が言うなら、きっとそうなるんだろうね。」

と、そう言って二人は笑いあった。



その時に、彼の体は少しずつ光になっていく。

そしてそれは正徳の中で交わっていくのであった。


彼は最後に、

「これからも君を支えていくよ。どこでも、いつまでも。」

そう言って、彼は正徳になった。


二人で一つ。運命共同体になった。

そして夢は覚めていく。

夢から現実に戻る時、死んでいったみんなが見えた気がした。


「みんなごめん。もう、大丈夫だから。」

俺がそう言うと、みんなは俺に手を差し伸ばした。


その手を俺は迷わず取った。

みんなの笑顔を最後に夢から離れた。


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目を覚ました時、姫乃さんが泣いて叫んでいるのが見えた。

あぁ、俺のために泣いてくれて、なんて良い人なんだろうな。

でも、姫乃さんには似合わない。

さぁ体を上げて、姫乃さんを抱きしめよう。


勢いよく、体を上げて、姫乃さんを抱きしめて、そしてキスをした。

姫乃さんは驚いて驚いて、でも抱きしめてくれた。

泣きながらも、頬を赤くして精一杯抱きしめてくれた。


キスが終わると、目を赤くした姫乃さんが見えた。

涙が伝っていた。俺はその涙を拭う。

そして俺は、


「姫乃さん。ただいま。」

最愛の人にそう伝えた。


その顔を聞いて、姫乃さんはいっぱいの笑顔を浮かべ、

「おかえり、しょうくん。」

そう言ってくれた。



これはノロイにかかった、正徳と彼の物語。

でもそれはもうおしまい。

今はただ、ただ愛する人を精一杯愛する物語。


そうこれは、



溶けたスーパーカップのように甘い彼女に尽くす、一人の男の物語。


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どうも!皆さん!未確認異常生命体 ゴアです!

これにて第1章が終わりでございます!

ストーリーはどうだったでしょうか。

満足いただけたなら嬉しいです。


もし、よかったらフォローや星、応援やコメントをよろしくお願いします。


それではみなさん!次の話で会いましょう!

さようなら!!

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