第2話 強制的異常相殺剤

平陽へいよう高等学校 始業式』

生徒がゾロゾロと集まってくる。みんなは笑顔で笑っていたりするのだが

彼の心の中は、

(はぁ・・・なんで、なんだよ・・・)


道を歩いている時より酷くなっていた。

どれぐらいかというと、死んだ魚のような目になり、生気がなくなっているぐらいには壊れていた。


だが、精神が不安定になった彼でも、学校まではちゃんと行けたようだ。

もっとも付き合ってからはいつもこの通りのため、学校では噂になっている。「河上正徳は精神ゾンビ」だと。

 

ふらふらと学校を歩いていく。奥の一箇所に多く集まっていた。

クラスが書いてある掲示板だ。

彼も掲示板を覗く。

「五組か・・・・」

すぐに自分の名前を見つけ、力なく言葉を吐く。


「正徳ーーー!!」

突然後ろから背中を叩かれた。

慌てて後ろを向くと、爽やかイケメンと元気系な女子がいた。

彼の親友とその彼女だ。


木村瑛人きむらえいと佐藤詩乃さとうしの。中学からの友達。

彼の精神ゾンビ状態をいつも浄化させている彼にとって学校で必須の存在だ。

姫乃さんと会えないという苦痛で病んでしまい壊れる彼を彼らは叩いて元に戻す。

正常という外れた釘を叩くハンマーとそれを使う人の両方をこの2人が担当している。

これからはそう、強制的異常相殺剤と呼ぼう!


「あっ瑛人・・・あと佐藤・・・・」

彼が消えそうな声でそう言うと、瑛人がフフッと笑い、

「おいおい、また壊れているのか?始業式からそんな感じだとお前もそうだし、俺たちが持たねえよ」

とそう彼に言った。


瑛人が困ったような顔で笑っていると、瑛人の後ろから

「ほんとだよね〜。そんなに病んでると私たち疲労で死んじゃうよ〜ねぇくん?」

と、冗談か本気か分からないぐらいの声のトーンで佐藤が話しかけてきた。


佐藤は彼の事を基本的には河上くんと呼ぶ。

だがイラついた時か怒っているときは、彼の事を正徳くんと呼んで笑う。

佐藤がニコっと笑った、それも怖いような笑いを。怒っている証拠だ。


彼の心の中は、

(佐藤の後ろに鬼が見えるぅ!?これは病んでたらしばかれるやつだ!!)

と、佐藤に対し恐怖を覚えていた。


「す、すいませんでしたー。」

と、汗をドバドバ流しながら2人に謝っていた。

このようなやり方で彼の精神ゾンビ状態が一時的に浄化されるのである。


「そうだ!河上くんって何組なの?」

と、佐藤が聞いてきた。彼は、

「えーと、何組だっけなー・・・」

掲示板を見たときは彼は精神ゾンビ状態と化していたため、その後の恐怖もあり完全に忘れていた。

「えーさっきまで掲示板見てたのにぃー?」

と、佐藤がニヤニヤしながらこっちを見ている。


そしたら瑛人が、

「まぁまぁ良いじゃねぇか。さてと正徳のクラスはっと・・・」

と、瑛人は彼の横を通り過ぎ、掲示板を見る。


「五組か・・やっぱり俺らって同じクラスなんだなぁ」

と、もはや安堵したような表情の瑛人。

何故ならこの3人は中学、高校の4年間ずっと同じクラスだったからもしかしたら連続6年間を達成出来るかもと佐藤がワクワクさせているからなのだ。

そしてこの今年でリーチになったと言う事だ。


そんなことを話していると佐藤が、

「じゃあ一緒に教室に行こう!!」

と、言ったため彼らは自分たちの教室へ向かうのであった。








「早く帰って来ないかなぁ・・・・早く正徳くん成分を補給したいのに・・・・」

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どうも!未確認異常生命体 ゴアです!


今回は瑛人と詩乃の初登場回です!

そしてヒロインはまだ登場してません!話に出てるだけ!


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