ミハエル・フォルド・ハーネル侯爵領

「リンダ叔母さん、母さんを必ず治すからね?」

「頼んだわ、気を付けて行くんだよ?」

「わかった、行くね!」


「「「行ってきま~す!」」」


「オメダちゃん、アナタが男だって知った時は驚いたけど、今はアンタに頼るわよ、お願いね?あの子達を守って、あの子等まだまだ未熟者だから、アナタなら任せられるよ!アハハ!」

「はぁ、出来る事はしますよ、アレでも可愛い連中ですから、では行ってきます」


なんか妙に上機嫌の女将さんを後にしてダンジョンの門を出た

一応街を出た事にしないと不味いからね

少し行って周りを確認して転移する事にした


「アミリラ、悪いが実家の事を頭に描いて欲しい、それを頼りに転移するから」

「家の事ね┅┅庭とかが良いかしら?」

「出来れば全体かな、侯爵領は分かるから町と家の周りの様子も思い出して」

「わかったわ┅┅こんなかな?」


魔法陣を出してその中へ全員を入れる

アミリラのオデコに俺のオデコを合わせ描かれた想い出と様子を見る、そのイメージの中の家の前に転移する


「こんなにくっ付かないと駄目なの?┅┅┅」

「これが意識を見るのに楽なんだよ」

「なんだかお暑いわね?ウフフ♪」

「私もやりたい!次は私よ!」

「密着は信用の証、アミリラが一歩リード!」

「ハイハイ!行くぞ!」


陣が光りに包まれそしてシュッ!と5人は消えて魔法陣も跡形もなく消えた

そして1軒の屋敷前に5人がしっかり抱き付いたまま現れた


「ここがアミリラの実家?」

「そうよ┅┅ねぇ?いつまで私の胸に手を┅┅そのぉ┅揉んでない?」

「あっ!それは┅仕方なかったんだよ、3人が抱き付くから手のやり場がなくて┅┅揉んでナイヨ」

「分かったから┅もう離してょ┅」

「うん┅┅ほら!みんなも離れて!」 ウ~ン!良い感触!


「なんかオメダ!ニヤついてる!」

「アラアラ!なら私のも揉む?ホラホラ!良いのよ♪ウフ♪」

「オメダおっぱい好き!だからニヤニヤしてる!アミリラが羨ましい┅┅」

「もう!良いから!家に入るわよ!┅┅┅久しぶりね┅┅」


やはり元気がない、不安なのだろう、それと早く薬を、エリクサーを飲ませたい思いかも┅┅


アミリラの実家は屋敷と言うだけあって大きな家だった

前侯爵が商人から騙して奪った屋敷、誰も使わないのを良いことに与えたのだ

門構えは立派なものだし、玄関迄は馬車で行ける程の広さ

そして使用人が3人住んでる、これは今の侯爵ミハエルさんが遣わせてるとの事

かなり面倒見が良くね?

このミハエル侯爵、領地でも人気が有るそうな、酷い重税を辞め所得に見合う税に切り替え、貧しいモノには仕事を与え援助する政策だとか

そして教会と協議して治癒院を数ヶ所町に設置して、値段を決め誰でも治療出来る様にしてる


領民思いの領主様と言われ慕われてるんだって

中には良い貴族様もいるんだな┅┅じゃなかったら国は滅ぶか?


「アミリラお嬢様?」

「久しぶりねリリカ、仲間と一緒よ、それでお母さんの治療に戻って来たの」

「「「「こんにちは!」」」」

「あっ、ハイ┅奥さまは┅┅」

「良いわよ、分かってるから、さぁ!中へ入れて」

「あっ!ハイ!すみません!どうぞ!」


ゾロゾロと屋敷の中へ入ると他の2人のメイドさんが頭を下げてる

そして引率するかの様に案内するのは2階へ、幾つか部屋を通りすぎ奥の大きな扉の前に着いた


「アミリラ様、どうぞ中へ、他の方々はここでお待ち下さい」

「みんな悪いわね、これも用心の為らしいの、母さんの病気が移るかも知れないからってね、治癒師さんが制限してるの」

「俺には制限の必要は無いと思うけどね?メイドさん達は何とも無いんだろ?」

「そうですが┅┅」

「それに病が移るならアミリラだって不味いだろ?それを普通に通してるぞ?おかしいだろ?」

「それは┅┅」

「俺達は仲間なんだから別に構わないよ、それに治療に来たんだから、もし移っても治せる自信があるんだ、皆も良いだろ?」

「うん!入ろ入ろ!」

「オメダが言う通り、病気なんか怖くない、入る」

「そう言う事だから、通して下さいねぇ♪ウフフ♪きっと驚きますからフフフ♪」


呆気にとられてるメイドさん、その前を次々に中へ入るみんな

一方、とっくにアミリラは母が寝てるベッドで手を握り涙を浮かべてる


「ウッ┅ウウ┅アミリラ┅ごめんなさいね┅こんな┅ウッ┅」

「母さん┅┅薬が!エリクサーがあるの!これを飲んで!」

「エリクサー?┅」


ポーションの蓋を外し、血の気の無い白くなった口に添えて飲ませる、顔は青ざめ目が窪み痩せた体


本当は相当な美人だと分かる顔立ちだが、生気が無い表情、そして不安と諦めから来る絶望

そんな毎日を細々と行き耐えてたのが見てて辛くなる


ゴクリ┅┅┅ゴクッ┅┅


「飲んだ!飲めたのね!母さん!」


エリクサーが少しずつ体内に流れ、次第に効果を出し始める

身体がほんのりと光り出して次第に黄色く、そして金色に変わり輝く、その輝きで部屋全体が明るくなると紫色の塊が床からボコボコと出て来た!


「ウワー!なによこれ!」

「気持ちわるーい!スライム!」

「違うわ!他にも小さいのが!」

「これは!」


『呪素、呪術から生み出された呪いの素です 主!早く浄化魔法で消滅するのです!』


「おう!浄化だな!光魔法浄化!」


慌てて床目掛けて浄化を放つ、そして壁、天井と全体図に放ち念の為にベッドにも浄化を放つ

スライム状の塊が霧となって次々と消えていく、そして床一面に描かれた魔法陣!それもゆっくりハラハラと黒い霧となって消えていく┅┅┅┅┅


『お分かりですね? 呪術の魔法陣です この屋敷に掛けた呪い それも強い呪いです また彼女の身体には別の刻まれた陣があると思われます 病は疲労と睡眠不足から来る衰弱 食欲不振による栄養失調 それらが精神不安定となり免疫力が低下した所に 屋敷の呪いが彼女を覆ったのです』


「酷い事をする、住む者を苦しませ死ぬ様に呪ったのか、どれどれ┅フムフム┅なる程ね┅┅」

「何が分かったの?それにこんな魔法陣なんて!誰の仕業なの!」

「いやはや!凄いね!あの気色悪いのも初めて見たけど、こんな術が有るなんて┅」


「アミリラ?悪いがお母さんの背中を出してくれないか、陣が刻まれてる筈だよ」

「母さんの背中に!そんな!」


ガバッと服を剥がしハダカにするアミリラ、背中を見ると?何も無い? 「何も無いわよ┅┅」


「隠してるのさ、こうすれば出てくる」


体に浄化を掛けるとハッキリと陣が浮かんで来た


「「「「あっ!あぁぁああ!」」」」


「これは隷属の魔法陣、あの床の魔法陣は屋敷全体への呪い、この部屋から拡がる様になってた」

「こんなの!母さんのも消せるの!ねぇ!」

「大丈夫、任せて、綺麗に元通りにするから、これは刻まれたモノと彫り込んだモノ、問題は入れ墨なんだよ、だから最初は掛けられた魔法陣を取り払う」


陣に書き込まれた文字を書き換えるオメダ、すると魔法陣が光り浮かび上がる、それを指で払うと消えて無くなった

しかし┅┅綺麗な白い背中には黒い魔法陣の入れ墨が残ったまま┅┅


「うっ┅酷い!こんな醜いモノを母さんに┅┅」

「こんなの消せないよ┅」

「肌に堀込む┅シャーマンに似てる┅┅呪い?」

「相当強欲なのね┅奴隷として手放したく無い┅醜い欲望┅」


背中の皮を剥がし新しい皮にするしか?

入れ墨を消す方法、良くやるのは硫酸や塩酸で肌を溶かす方法

これはケロイド状に痕が残る、仕方なくやっちゃう方法、正式には皮膚移植、お尻とかの皮膚を移植するのが一般的

全身入れ墨の場合は不可能、皮膚移植の場合、身体三分の一が限度らしい、皮膚も呼吸してるからね


ヤッちゃんが勢いで酸を掛け、墨を消す行為に走るのもいるらしいが殆どが死ぬ

火傷と同じ┅損傷皮膚の割合を知らないから死ぬんだ┅┅┅残念!


そこでお母さんをベッドにうつ伏せに寝せる

堀込まれた魔法陣部分の皮膚を剥がす事にする

ナイフで周りを切ってゆっくりと皮を剥がしていく

肉が露になるがお構い無し、綺麗に剥がし血を優しくて拭き取り┅


【神聖魔法リバイブ】再生と復活、勿論!蘇生可能とする最上級魔法


虹色に光り┅┅皮膚が!肌が!

スローモーションで再生していく

虹色の光りが修まるとそこには真っ白でスベスベした綺麗な肌の背中が現れる!そして!

身体全体が虹色に包まれ光り輝く!┅┅┅┅┅┅┅┅そして?



「信じられない┅┅そんな事がぁ?」

「これは何!奇跡なの!なにを見てるの!」

「┅┅┅上級の回復魔法?んん?」


「まぁまぁ!綺麗に治ったじゃ無いの!凄い!流石ね♪ウフフ♪」

「アミリラ?これでお母さんの病気と屋敷の呪いは無くなった、後はお母さんに食事をキチンと取って貰って栄養をね?」


「┅┅┅ええ┅オメダ?アナタは?┅ううん!良いわ、私はアナタを信じた!それだけよね?」

「アハハ、今はそれで頼むよ、何時か時が来たら詳しく話すから、それとカーテンと窓を開け空気を入れ換えよう、風通し良くして日射しも多く入れたが良い」


みんなでカーテンを開き、窓を開けると風か走る

空気が変わるのが分かる、重たい感じがスッカリと飛ばされた


「ねぇ?聞いても良いかな?」

「なんだい?」

「あの入れ墨と大きな魔法陣を掛けたのは誰なの?」

「床の魔法陣はこの屋敷の前の持ち主、確か商会の物だったよね?その商会主のようだ、お母さんの入れ墨は知っての通り、君のお父さんだよ┅┅」

「あんなヒト!お父さんなんかじゃ無い!あんな奴!ケダモノなんか!認めない!」

「でもなんで?どうしてポイしたの?こんなに執着してたのに?」

「まぁ奴隷と同じ扱いにしたが良かったんだろう、飽きても手放したく無かったんだね┅┅手篭めだったと聞いたけど?念のため隷属で縛ったんだ、他の女性達も同じ様にしてたと思うよ」


「奴隷より酷い扱い┅┅何時までも操り全てを牛耳るなんて┅┅┅」

「なんにせよ、支配した従者しか持てないなんて哀れな物さ、結局誰も信じないし誰も許さないからね」


「ねぇ?母さんを縛ってた術と病は完全に治ったのよね?」

「そうだよ、後は回復するだけさ、今は眠ってるけど目を覚ませば驚くだろうね、そこは娘のアミリラがゆっくり話してあげると良い」

「うん┅┅ありがとう!やっぱりオメダが来てくれて良かった!もしいなかったら呪いも術も解けななかった!あんな入れ墨だって!アナタのお陰よ!」

「まぁ良かった?のかな?アハハ、それじゃあ俺は田舎に行くよ」


「「「「ダメえぇぇえ!」」」」


「何を言うの!バカなの!バカ!」

「用が済んだからハイさよなら!って信じられない!阿保!唐変木!」

「それはどうなの?ヒトとして常識を疑われるわよ?まぁ非常識はオメダちゃんらしいけど?ウフフ♪」

「そうなの?えぇ?まだ他にもなんか有るのかな?」


「あるに決まってます!もぅ!先ずはお母さんに挨拶してよ、それとここには3人のメイドさんが住んでるの、そっちも挨拶してないでしょ?」

「まぁ来た早々事に当たったからなぁ」

「それと!おばさんの容態を見ないと!」

「ハイさよならって直ぐにって訳には行かない!どんだけ非常識!」

「分かったから、そんなに責めないで┅」


そんな訳で部屋へ通され休む、アミリラは自分の部屋へ、ルルエラ、ペルリナ、シャハナは何時もの一緒の部屋へと┅┅┅はぁ~


アミリラのお母さん、名前はアリリアさん36歳、16歳でアミリラを産んだ事にしてるらしい、そして妊娠したのはリンダさんが手篭めと言った時だと思われる


その後アミリラの事は伏せて前侯爵ミルドスの元へ行ったそうだ

行ったと言うか連れて行かれた?


その時に魔法を刻まれた、散々奉仕して飽きたからポイ!

でも性奴隷のまま、随分と強欲なんだな?俺も1歩間違えは同じ事を?女好きは同じだからなぁ┅┅┅┅┅┅┅┅でも違うか?


結局アミリラの事は隠して育てたが、バレてしまい取り上げられそうになった

アリリアさんは第一夫人に泣き付き真相を明かしそれでアミリラの事は平民として育てたと┅┅


なんか随分と揉めたようだよ?だから貴族って嫌なんだよ、貴族としての籍に拘るからね


アリリアさんがおかしくなったのはアミリラが成人の時らしい

それから6年間ずっと病に倒れ、アミリラは必死に鍛えダンジョンでのエリクサー獲得を目指したと言う訳で┅┅

でもそれも終りこれからどうするのか?冒険者辞めてここで暮らすのか?冒険者しながらここに住むのか?ダンジョンは必要無い?

この町で冒険者して金を稼げば生活して行ける┅┅┅


「オメダ?改めて話があるの?下に来て」

「は~い!」


広いリビングに案内されあの3人さんが立ってる

ソファーにはしっかりペルリナ達3人が寛いでる


「彼女達はさっきのリリカ、そしてアン、ミカよ」


リリカさんが年長者でリーダーかな?アンさん?ちゃん?は幼い感じ、ミカさんはなんかボワンとした感じ?でもまだ18歳、アンちゃんは17歳、みんなカワイイ!


なんでこの世界の女性達はこんなに美人とかカワイイのばっかしなんだ?成長も良くてパイパイもムフフ♪なんだよ?

ここに7人の若い美女達が俺を見てるんだよなぁ?


前世では考えられない事だよ?それに皆さんとても好意的!


「オメダさん?でしたか、まさか男のヒトとは思いませんでした┅┅」

「ホント┅まだ信じられません!」

「綺麗┅┅凄いイケメン┅┅どう?かしら?」


ミカさん?その色っぽい目は辞めて!まだ18でしょ?まだ?もう?


「この3人はミハエル侯爵様の所で働くメイドなの、侯爵様はとても良く面倒を見て下さって、こんな生活が出来るのも侯爵様のお陰よ」

「なんで?確か侯爵は前の┅そのぉ甥っ子に当たるんだよな?」

「ウフ、そうよ、まぁ色々とあってね、ミハエル様御一家とはとても仲が良いの」

「アミリラ様、領主様には先程奥様の病が治られたとご報告致しました」

「そう、ありがとうリリカ、じゃあ明日には此方に来られるかもね、オメダはご挨拶してから田舎へ行ってね?」

「イヤイヤ!俺は辞退する!貴族とは関わりたく無いからね、これは絶対だよ!」

「でも┅お世話になってるのよ?挨拶くらい良いでしょ?」

「そう言われても┅貴族ってのに顔を知られるだけで面倒なんだよ、絶対に絡まれるから┅┅だから冒険者もD級止めにするんだから┅┅」


「プッ!アハハ!D級止め?確かにC級以上は使命依頼とか護衛とか貴族とも関わるわね、それが嫌?アハハ!」

「そんなに嫌いなの?」

「面倒と言えばまぁ面倒よね┅┅」

「でも貴族は何処にでもいるわよ?町で出会ったら嫌とか無理でしょ?」

「俺は貴族や偉ぶってる奴は駄目なんだよ、とっとと逃げるか消えるさ、それでもいちゃもん付けたら相手はする、貴族だろうが何だろうが悪さをすれば相手するよ」


「「「「「「┅┅┅┅┅┅┅」」」」」」


「争うって事?┅┅そんな事をしたら犯罪者よ?貴族には逆らえないわ」

「不敬罪で打首よ?」

「その辺の弱い貴族ならどうにかなるかも?でも国とか相手ならどうするの?」

「国だろうがだよ、俺が間違ってなくて邪魔するなら相手するさ、だから関わる事をしないと決めてる」


「わかったわ┅┅でもお願い!挨拶だけ、だってアナタが治したんだもの」

「それをアミリラが治した事にして欲しい、エリクサーでね?」

「呪いはどうするのよ?」

「それは黙ってようよ、別に言う必要は無いだろ?」


「「「「「「「「あります!」」」」」」」」


「病の原因を話さないと駄目でしょ?治癒師だって知ってるのよ、まぁ呪いは知らないでしょうけど」

「そうなの?会わなきゃ駄目?」


「「「「「「「「「ダメェ!」」」」」」」」」


やれやれ┅┅ミハエル侯爵ねぇ┅

嫌だなぁ┅┅





『フフフ そうなりますね さて?どうされるのか? 面倒な相手とのご対面ですから┅┅ウフフ♪世の中狭いですねぇ┅』






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