果樹園 【ロンダバルガーデン】 Ⅱ

【蘭華亭】 アマンダ


ビックリしたわ、ジョウさんってエルフじゃないのね┅┅

見た時は女性とばかり思ったわ、でも男?男の子┅┅┅20歳ねぇ?


どこかの貴族子息だと思うけどバカ貴族じゃ無いようだし、礼儀が素晴らしくって腰が低いのは余程厳しい躾から?

でも貴族が平民に頭を下げるかなぁ?もしかして商人の子かしら?


それならわかる、けど冒険者なんてならないわ、う~んサッパリわからない

しかしお金持ちなのよね、アッサリ大金を払う仕草は普通だったし、気の配り方は其処らの冒険者とは違うから強いのは分かる

でも今日町へ来て冒険者登録したってのがそもそもおかしい


かなりの秘密を持ってるのは理解できるけどあの子はそれもアッサリ話す素直さが感じられるのよ

育ちの良さみたいな?


本当に綺麗な顔┅この国では銀髪は珍しい、見た事はそう多くないけど見た事は有るの、でもドキッとしたわ

確か祝福の子が銀髪に産まれるって聞いた事がある

加護持ちかな?あの背丈に容姿、きっと凄く賢い筈よ

ウフフ♪なんだか嬉しいわ、宿をやって無かったら出会えなかったかも、楽しみができたわ♪

アミシラはどう感じたのかしら?

ウフフ♪



▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽



このヨハルド領辺りの気候は一年を通して過ごし安い気候で2ヶ月間だけ寒くなる

しかし雪が積もる事は無くて精々暖房が欲しくなる程度、最低8度くらいにしかならない

春と秋、冬が少しだけと言った所か、雨も適度に降り農業には適した地域である

その為に魔物達も過ごし安く地形も山々に囲まれ湖が多く草原もあり耕作地は広くて自然環境が申し分無い

だから王国屈指のダンジョンが生まれたのだ


【ヨハルドダンジョン】現在42階層迄が層破されてる 推測は100階層が最下層と噂されてる

ダンジョン街はリビラ町の半分程

国中の冒険者が集い町は年々大きくなっている




『プッ┅┅プハハァハハ!苦しい

主!私を笑い殺す気ですか! 』


何を言ってる!寝坊したじゃないか!女将さんも呆れてたぞ、それにアミシラちゃんも辺な目で見てたし、なんで起こさなかったんだよぉ!


『それは自己責任でしょう?┅┅プッ!アハハ!もうダメェ~』


なんでラファがこうも笑うかと言えば昨夜髪を切るとか言って切ろうとしたが┅┅

鏡が無くてハサミも無いのに気が付いた、それで解体ナイフで切ったら上手く切れないから断念した


それは正しい判断だった┅┅けどね?辺な切れ方で左側耳下後ろが短いんだ┅┅そうだよ!利き手は右だからそうなるよぉ!


風呂の湯船で見ると左側に窪み?その辺りだけがザックリと無い!これは不味い!ってんで仕方なく束ねて編む?結う?


あっら不思議!魔法使いさん定番の編んだ髪型の出来上がり!

そう!これが切り込んだ部分を隠すのに一番シックリ来たんだ

こんなに長かったとは?コート着てたし普段は後ろ髪を纏めて紐で結んでたから分からなかった


結局結った髪は腰辺り迄あってボリュームも有るから編む形になってしまった┅┅

まぁコート着てるから分かりゃあしないが結ってるのは見ればバレバレで前髪とか横は垂らして隠したんだ

それをラファが笑ってる┅


『主!魔法杖を持てばまんま魔法少女ですぅ!アハハ!とても可愛らしいですぅ!ヒィハッハハ!』


言ってろ!ラファのバカア!


「果樹園へ行く冒険者はこの馬車だぞ!ダンジョン行きじゃ無いからな!」

「ヨハルド行きはこっちだぞ!急げ!」


城門の近くに乗り合い馬車の停車場が設けられてる

ダンジョンへは朝の1便だけでその後は無い、何故ならヨハルドダンジョン迄は馬車で朝行けば夕方前に着く距離だからだ


他の乗り合いも有るがこの時間では無い、普通は朝の8の時から、領都行きは3日係るから朝、昼と1日2便の運行らしい


「すいませ~ん!遅くなりました、これが依頼書です!」

「うむ、ジョウか?女子は前側に座れ、男共は後を警戒しろよ、魔物が襲うかも知れんからな、特にウルフには気をつけろ、俺はガーデンのダイガスと言う、ガーデン迄は3の時で着く、着いたら指示するから気張れよ!」


┅笑うな!『ハイ┅┅ププッ!』


馬車の荷台には冒険者パーティーが3組、女の子ばかりの4人組パーティーと男女2人づつのパーティー、男の子3人と女の子2人のパーティー計13人と俺、その中で女子4人組がF級で他はG級、このF級女子達は何回か依頼を受けてる経験者で御者してるダイガスさんと仲良く話してる


そのぉ┅女子に囲まれジト目で見られるのは何故?特にお姉さん?かな、F級女子の1人が側から離れない、もう1人、まだ幼い顔の確か男女2人づつの子、そんなに見ないで!


「ねぇ?貴女は昨日登録したばかりの新人よね?」

「┅┅┅ハイ」

「私はアミカ、F級よ、このガーデンには何回も来てるの、多分今日はプルプラの収穫ね、男子はお酒の仕込み手伝いよ」

「アノォ┅┅ガーデン?」

「ウフフ、そんな事も知らないの?果樹園の名前よ、ロンダバルガーデン、長いからみんなはガーデンって言うの」

「私も知ってるよ、お母さんが昔手伝いしてたよ、だから行くの」

「貴女はまだ成人前なの?」

「うん、14歳、見習いを2年間やって今年からG級になったの、あっ!エルガと言います」

「エルガちゃんね、2年間も見習いしてたら其処らの新人より使えるわね、他の子も?」

「うん!みんな幼馴染みよ、今はパーティー名を考えてる所、アミカお姉さんはF級でしょ?凄い!」

「凄くは無いよ、もう22歳なのよね、実はE級だったの、でも討伐依頼に失敗して降格しちゃった、その討伐成功でD級昇格だったのにね、今度は上手くやるわよ」


「そうなんだ、私は魔物が怖くて┅まだ自信が無いの┅┅」

「14じゃあ仕方ないわよ、段々と力が付けば自信も出るわ、まぁスライムやホーンラビットを相手に訓練すれば生活費は大丈夫よ、薬草採取もバカにならないからね」

「うん!わかった、ありがとう」


凄く良い!この感じ、お姉さんが教える危なくない仕事のやり方

それを素直に聞くのも良い!

冒険者って何時死んでもおかしくない仕事、それを優しく手解きするのは良い!


「貴女は1人でしょ?ずっと1人で冒険者するの?」 俺?

「まだ始めたばかりで┅┅」

「1人は危ないわよ、魔法が得意なのかしら?でも油断したらダメ!囲まれたらスライムでも危険よ、誰か見つけなさい」

「はぁ┅┅┅考えます」

「それにしてもカワイイわね?男には用心するのよ、1人だと絶対ダメ、冒険者の男って女に飢えてるからね、それにしつこいの、何か有ったら私達に言うのよ、これでも私達【赤い棘】はリビラ町でも知れてるから」

「お姉さん赤い棘なの!スゴイ!でもF級だったなんて┅┅」

「失敗したからね、本当は今頃D級でダンジョン攻略してたのに┅┅」


各々が思い思いに話してる、まぁ賑やかと言えば賑やか、でもお姉さんパーティーはずっと俺を見てる、それとなく鑑定はしてるので全員の事は把握してる


この優しいお姉さんアミカさんはエルフ女子、同じ様にフードで耳を隠してる、スタイルは勿論バツグン!美人さんで弓の使い手、多分俺がフードを被ってるからエルフだと思ったようだ


エルガちゃんはこれでも光属性持ち、でもまだ回復魔法を使えない、魔力が少ないからだ


全体的に魔力が少ない、これは魔力循環をしてなくて魔力涸渇も経験してないからだろう

魔力が少なくなると欠乏症が出て具合が悪くなる、ふらつきや頭痛に脱力感、歩くのもままならない


だからその前に魔力を止め回復する迄はなるべく動かないから成長が遅いんだ、これでは駄目だ!


何事も無く穏やかに馬車は進み無事にガーデンへ着いた

ずっと見てたお姉さん達もサッサと降りて籠を持ち農園の中へ行ってしまった 自由かよ!


「おまえ達に割り振りするぞ、女子は全員プルプラの収穫だ、そこの籠を持って奥へ進め、男共は向こうの納屋で仕込み作業だぞ、力仕事だから気張れよ!付いて来い!」


男子5人はダイガスさんの後を付いて行く、本当は俺もなんだが?

しっかりエルガちゃんが籠を渡してくれて手を繋ぎ引っ張られる?

なんだかなぁ?懐かれた?


「ねぇ?お名前教えて?」

「ジョウだよ」

「ジョウ?辺な名前、ジョウは新人さんだね?他に依頼受けたの?」

「昨日ドブ掃除とかしたよ」

「あれね、あれは嫌だね?凄く臭くって汚れるもん、でも依頼料金は良いからね、私は色んな仕事をしたよ、好きなのは花屋さんでのお手伝いかな」

「そんなのも有るの?」

「雑用だけどお店のヒトと仲良くなれるし色んな事を覚えるから」

「なんで冒険者に?」

「うん┅┅お金かな、お母さん病気になってお父さんは出稼ぎで麦農園に行ってる、弟と妹がいるけどまだ子供だから私が頑張るの」


┅┅┅┅┅┅┅泣ける!

そんな話しは爺ぃの涙腺が弾ける!なんて良い子やぁ~


「エルガちゃんは偉いね、でもね?エルガちゃんには隠れた才能が有るの知ってる?」

「私に?」

「そうだよ、光属性で回復魔法が使えるんだよ、今は魔力が少ないから使えて無いけど、魔力を増やせば使える様になるから」

「ホント!ホントなの!じゃあお母さんも治せる?」

「う~ん、病気は難しいかな?エルガちゃんには無理だね、でも訓練すれば大丈夫だから」

「そうなの?訓練する!そして回復魔法を覚える」

「仕事しながら訓練するといいよ、さぁ農園のヒトに仕事を教わろうね?」 「うん!」


収穫は簡単で木に成ってる実を集める、実に簡単、鈴なりになってる実だから直ぐに籠は一杯になる、それをあの駄目な荷車に乗せ運ぶんだけど┅┅┅

効率が悪い、大体荷車が酷すぎる!たったの籠4つって!

近くにいたお爺さんに物置小屋とか無いかと聞いたら教えてくれて、案内もしてくれた


そこに有った物で大八車を作る、車輪は馬車のが幾つも積んで有ってラッキー!

時間が惜しいのでパッパアッ!と錬金術を使い組み立てた

それを引いて出るとお爺さんが待ってたのか近寄って来てニコニコ?


「こりゃ良い!良く作れたのぉ、お前さんは男じゃろ?息子が女の子と勘違いしたようでスマンのぉ、じゃがそれが良かった、こんな物を作ってくれてありがとうなぁ」

「ダイガスさんのお父さんでしたか、じゃあお願いが有ります、これはお爺さんの物と言う事にして下さい、それとまだ俺が男だと言うのも」

「フォホホ、何か計算があるのだな?ヨイヨイ、お前さんはどう見ても女の子じゃしな、誰も気づかんわ」

「これで少しは捗るでしょう、この板も借ります」

「好きに使うと良い、それにしても賢いのぉ、アハハ!」


戻って籠を積む、6籠並べ敷板を被せその上に更に6籠、それを運ぶ事3往復、そしてお昼休みになったのだぁ!疲れた┅┅







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