果樹園【ロンダバルガーデン】 Ⅰ

ふっふふん♪はぁはあん♪


『上機嫌ですね? そんなにカレンのお尻がお気に入りですか?』


バ、バカな事を言うな!依頼が無事達成出来たからだよ!

あのおっぱいやお尻とは違うぞ!


『そうですか┅┅┅?おっぱいとは言ってませんが? 其れにしてもアンナにカレンですか? 主のハーレム生活まっしぐらが見えて来ました』


ハーレム!そんなの絶対に無理だろ!それになんか嫌だ!それに沢山の相手をしなきゃならないなんて無理!1人でも難しいのに


『しかし今日の主は女性に上手くアピールしてましたが?さり気無く母性をくすぐってました あれは計算でしょうか?この~?すみに置けないですね? 』


そんな事はしてない!大体肝心な時になんで無視してんだよ!

ギルドじゃなんの捕捉もしないで、今頃になって弄るだけかよ!


『でも結果は主が1人で交渉したのが良かったのでは?それと左手に見えるのが教会です 右手には薬師ギルドが見えます』


教会はこんな近くなんだ、まだ行かないぞ、まだ早い┅┅薬師ギルドもまだ後だな、ラファさんや宿は冒険者ギルドからは近いの?


『はぁ~マップを見ればお分かりかと?』


そうだけど!じゃあなんで教会とか教えるんだ、良いから宿を教えて


『やれやれ、蘭華亭は広場に交差する道の右通りを行けばあります

冒険者ギルドからは歩いて15分程でしょうか 』


ここからが近いのか、どうしよう、宿を取ってギルドへ行くか?其れとも┅┅


『時間的に宿が良いでしょう ギルドは最悪明日でも大丈夫です

宿は好みの部屋が埋まるかも知れないですから 』


もうすぐ夕方だもんね、部屋を決めるだけなら直ぐに済むかな、じゃあ宿から行こう


教会の前を通り薬師ギルドをすぎたら直ぐ右に曲がり進むと看板が見えた、派手な看板じゃなく表札が大きな感じで質素

探して見ないと通り過ぎるくらいの大きさ、なんか隠れ宿みたいだ


「こんにちは!」

「ハイ!蘭華亭へようこそ」

「部屋は空いてますか?」

「いらっしゃいませ、お一人様でしょうか?」

「ハイ」

「どうぞ此方へ、女将さ~ん!お客さんです!あちらのカウンターへ」


カウンターへ行くと女将さんと言われるヒトが出てきた


「いらっしゃいませ、当宿の女将でアマンダと申します、本日の泊まりは部屋があまり残っていませんが?」

「実は冒険者でして、出来れば1月程の予定なのですが、その後も続けて使わせて貰うかも知れません、此方はお風呂が有ると伺ったもので」


「そうでしたか┅┅お一人様用で長期の部屋は┅」

「あっと!一人用でなくても良いです、条件が風呂なんで他は多少どうでも良いと言うか、アハハ」

「そうですか┅もしお客様が宜しければ少々お高くなりますが、風呂付きのお部屋とかはどうでしょう?本当に申し訳有りませんがそのような部屋しか残って無いのです」


「風呂付き?部屋に?それは良いですね!値段は構わないですよ、今月は残り20日でしたね?それでお願いします」

「┅┅┅┅良いのですか?この部屋は金貨2枚以上のお値段ですが?」

「金貨2枚とおいくらですか?」

「金貨2枚と銀貨3枚です」


23万ねぇ┅豪華旅館!でも大丈夫!230万でも!よっ!御大尽!


「では金貨23枚です、月末に延長するか決めますね」

「・・・・あっ、ハイ!ご案内して!あっ!夕食は部屋でなさいますか?」

「これから冒険者ギルドへ行くのでその後にお願いして宜しいですか?」

「ええ勿論、ではこの宿帳にお名前とかお願いします」


名前と年齢、職業を書いて住所は書かなかった、女将さんもその事は承知なのか聞かなかったんだ、日本ではまず無いね┅┅住所不定とか駄目だよねぇ


部屋に通されて行く┅┅なんかヤバイ雰囲気ですが?

2階奥へ行くと段々明るくなって豪華な扉?それに他には扉無しで部屋はここだけ?


「此方が【蘭華郷の間】です」


驚いた!3L!寝室にリビングと居間って?風呂は露天付き!リビングには小さなカウンターバー


説明が右の耳から左の耳へと通り過ぎる┅┅

そりゃあ230万円だもんなぁ、そんな物か?

チップを渡そうとしたら断られた、コミコミだそうだ

意外にもチップが有ったのはまたまた驚いた、もし受け取った従業員がバレたら解雇らしい┅┅


部屋の事は後回しで直ぐにギルドヘ向かった

やっぱ宿は後が良かったんでは?ちょっとショック状態、品粗な貧乏人には受け入れる度量が足りませんって!

1泊2万円でもオドオドするのに┅


「メリルさん┅┅はぁはぁ、依頼書お願いします」

「まぁそんなに慌てて?まさか!依頼失敗とか!」

「イエイエ、達成しました!9件!明日は果樹園です」

「えっと?これも、これも、これも┅┅┅全部!凄い!ジョウさん!確かに完了です!」

「何々?ジョウが来てるのかニャ?」

「だってロミィ!ニャが出てるわよ、ジョウ君凄いわね、1日で9件もこなすなんて」

「いやぁタマタマですよ、依頼先の方が親切で協力してくれましたから」

「依頼料金が全部で銀貨7枚と銅貨3枚これね、明日の依頼を済ませたらF級昇格よ、頑張ってね」

「ハイ!それと朝の解体をお願いしたのは済みましたか?」

「あっ!ご免なさい、買い取りの精算金とお肉を預かってるわ、これが明細で代金がこの袋に入ってるよぉ、大金だから気を付けて」


「ジョウはどこに住んでるのかニャ?」

「さっき宿を取って来ました」

「宿は何処なの?」

「蘭華亭って言う宿です、凄く良い宿でぐっすり眠れそう、取り敢えず1月お願いしましたよ」


「「「蘭華亭!ニャン!」」」


「アハハ┅あんな宿を?それも1月って┅┅」

「ジョウ君はなんだ┅そのぉ非常識ってのを知ってるか?」

「それくらい知ってますよ、簡単には普通じゃあ無いって事でしょう?」

「ウン!ジョウは非常識と言うより無自覚の方だニャン」

「ジョウさん┅お金大丈夫でしたか?あの宿は高いんですよ?」

「それは大丈夫です、それと今日、商業ギルドで登録して来ました、ギルド長のハロルドさんが面倒みてくれて助かりました」


「「「はぁああ!ニャニャン!」」」


「なんで登録なんてできるの?9件も依頼受けてんのに!」

「良く時間が有ったわね、それにギルド長自ら?」

「何かしたのかニャン?」

「商業ギルドに登録するの決めてたんです、売りたい物が有りましたし、冒険者だけより困らないでしょ?」

「そう言う事ね、それで何を売ったの?」

「塩と胡椒を少々、高く買ってくれました、それと今日の依頼で行ったオルウエルト商会には正式に品物を扱って貰おうと考えてます」

「はぁ~マッタク驚かされる事ばかりね、商人の傍ら冒険者なの?」

「ラディさん?冒険者しながら売る物が有れば売る、その為の商業ギルドです、そして商会の方が売る手間が省けます、あくまでも冒険者が基本俺の職業ですよ」

「ほぇ~!ジョウは凄く考えてるニャ!それにそんな事を思い付く冒険者なんていないニャン!」


「わかりました、ジョウさんは確かに見た目は幼く10代ですが考えは20歳より上の考えを持ってるようです、だけど!世間知らずは早く直して下さい!」

「メリルが言うのも仕方ないわね、依りにも寄って蘭華亭に1月も泊まる約束するなんて、どんな部屋なの?ってか幾らの部屋?」


「1泊金貨2枚とちょっと┅┅」

「「「えっえぇえ!そんなに!」」」

「じゃあ1月なら金貨20枚以上!」

「ジョウはお金持ちだニャン!向こうでも売ったのだから儲けたのだニャン?」

「うん┅全部で金貨65枚┅」

「そ、そうなのね?なんだか金銭感覚がぁ~そんなにポンポン金貨とかあり得ません!冒険者成り立てでしょ?依頼だって9件で金貨にはならないの!それを┅┅」

「ウフフ♪そう言わないの、ジョウ君は20歳の大人よ、ちゃんと考えてるって褒めこそすれ叱る事は無いんじゃないの?」

「そうだニャ、メリルは心配性だニャァ、ジョウなら大丈夫ニャ間違いは起こさないと思うのニャァ」


「もう!ニャニャうざったい!メリルも心配は止めなさい!恋人ではないでしょ!ジョウ君は一冒険者なのよ?ここで深い話しはご法度よ、済んだら解放してあげなさい」

「うっ、ご免なさい、つい気安くして┅┅」

「イエ!ありがとうございます、まだそんなに知らないのに心配してくださり感謝します、この町に来てこの冒険者ギルドで本当に良かったと思います、明日からも宜しくお願いします!」


頭を深く下げ笑顔でギルドを後にした、彼女達の優しさが嬉しくてちょっとウルッと来たけど良かったとつくづく思った



「なぁに?メリル泣いてるの?」

「だって┅ジョウさんがあんな事を言うんだもん、それに頭を下げて┅┅グスッ」

「そうね、あの言葉はヤバイわよね、頭下げて笑顔って┅┅」

「惚れたニャン?私はとっくに惚れたのニャア、あの薫りは駄目だニャ、もうメロメロニャア」

「ねぇメリル?ジョウ君の買い取り額ってどれくらい有ったの?」

「あんまし言うと駄目だけどね?全部で金貨183枚と銀貨も、ボイスさんが頑張ったって┅┅」

「それは凄いわね、ねぇ?私達の給金ってこれで良いの?安くない?」

「確かに!安すぎる!冒険者やったがお金は稼げる!ニャン?」

「馬鹿は言わないの、命掛けよ?その金額は命の代金、安いか高いか本人次第よ、でもジョウさんならそんな事はどうでも良いんじゃないかな?」

「ウフフ♪そうね、なんせ無自覚なんだもの」



なんか言われてない?


「お帰りなさい!」

「あっ!戻りました、君は?」

「私はここの女将の娘でアミシラと言います、ジョウさんでしたね?」

「ええ、暫く滞在しますから宜しくお願いします」

「ご丁寧にありがとうございます、夕食は如何されますか?」

「先ずは風呂に入りたいので、1の時後に良いかな?」

「1の時後だと後の8ですね、承知しました」


アマンダ 38歳 元S級冒険者

職業 【蘭華亭】店主

称号 紅の戦姫 剣豪

レベル 280 MP 620 HP 1200

能力 8 体力 8 器用 8 運 5

火属性魔法 8 風属性魔法 7

剣術 MAX 状態異常耐性

毒耐性 索敵 気配察知

魔力感知


なんで宿屋の女将なの?コワッ!


明日は果樹園のお手伝い、確か他の冒険者達と一緒で門前に朝の5の時だったな┅┅早くねぇ?

新人冒険者はそんな仕事しか無いからなぁ

果樹園のロンダバル園ってどんな果実なんだろう?


『プルプラの実です 主には桃と言えばお分かりかと? 3種類の桃でお酒もつくってますよ 今は最盛期で収穫と酒の仕込み作業でしょう 只┅┅┅問題が起きてます』


問題?俺に関係してるの?


『いえ 最近あの辺りには頻繁に魔物が出てます 多分果樹園も被害が出てると思われます その為に冒険者に依頼してるのでは?』


でも仕事は討伐じゃ無くて作業だよ、まぁ襲って来たら迎え打つけどね


『ウフフ♪明日が楽しみです 多分ですが女性に間違われる事は確定でしょう 』


それは嫌だ!ヒゲでも書いとくか?


『この世界のヒト族は無毛ですよ?ドアーフはヒゲ有りですが主はドアーフには見られません 何せ背が高いのすから』


そんなのは知ってるよ!常識だろ!そうだ!この長い髪をバッサリ切ればいくらかマシかな?


『どうでしょう?いっそツインテールとか?美少女戦士とか?』


おまえなぁ!俺で遊ぶなぁ!

何がツインテールだ!まんま女の子に間違われるわ!やらんけど!

絶対に切る!






『切ったら顔が丸見え 今以上に女の子になるのに┅┅無自覚』






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