第14話 迫る影

朝霧がまだ山を覆っている中、水松つぼみは青森県警からの急な呼び出しを受けて、八甲田山の登山口に急行した。彼女が現場に到着すると、警察と救急隊がすでにテープで区切られたエリア内で活動していた。地面には雪が新たに積もり、その白さが不穏な光景を一層際立たせていた。


登山口近くで発見されたのは、三体の遺体だった。全ての遺体は首が切断され、周囲には大量の血が凍っていた。遺体の身元は不明で、現場には手がかりとなるものは何も残されていなかった。


つぼみは現場検証チームと共に、遺体の位置や周囲の痕跡を詳細に調査した。遺体の一つ一つが異なる方向を向いており、犯行に至る状況が計画的かつ冷酷であることを物語っていた。


この新たな事件は、以前のビデオが公開された後のことであり、つぼみはこの残忍な展開が何らかのメッセージである可能性を疑った。彼女は、この事件が単なる恐怖の拡散を目的としているのではなく、何か特定の反応を引き出そうとする意図があると感じた。


つぼみは現場から警察署に戻り、最近の事件とこれまでの犯行を照らし合わせる捜査会議を開いた。彼女たちは、遺体が発見された位置や状況から、犯人が使用したであろう逃走経路や隠れ家の可能性がある地点を特定しようと試みた。


その後、つぼみは地元の登山者や観光客からの情報を集めるために、再び登山口へと向かった。多くの証言が集まる中で、一部の証言者が遺体発見の数日前に、不審な集団が山中で何かを運び込む様子を見たと報告した。


この情報を元に、つぼみと捜査チームは山中の特定のエリアに対する捜索を強化し、ギロチン仮面の隠れ家を特定する手がかりを求めた。捜索は困難を極めたが、つぼみは犯人を追い詰めるためならどんな困難も乗り越える覚悟を決めていた。


この連続事件は、ただ単に地域社会を恐怖に陥れるためだけのものではなく、より大きな計画の一部であることが次第に明らかになっていった。そして、つぼみはその深淵な真実に少しずつ近づいていた。

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