第12話 報道の影響

真実が少しずつ浮かび上がりつつある中で、八甲田山の事件に対するメディアの関心も高まっていた。水松つぼみとその父、水松康夫が収集した証拠は、地元の報道機関によって一部誤って公表された。報道では、特定の政治家がギロチン仮面と断定されたかのように伝えられ、これが犯人に予期せぬ反応を引き起こした。


その夜、新たな事件が発生した。山中で再び、首を切断された遺体が発見され、犯行現場には、報道に対する怒りと見られるメッセージが残されていた。メッセージには、「真実はまだ闇の中」という脅迫めいた言葉と共に、報道機関の名前が書かれていた。


この事件を受けて、つぼみと康夫は、メディアの扱いが犯人の行動を更にエスカレートさせた可能性があると考え、対策を練り始めた。彼らは、報道機関と連絡を取り、今後の報道にはより慎重になるよう要請した。また、警察は報道機関の安全対策を強化し、記者や関係者への警護を提供することになった。


つぼみはこの新たな事件が、自分たちの捜査にどのような影響を与えるかを深く考え込んだ。彼女は事件現場を訪れ、残されたメッセージと遺体の状況から、犯人の心理状態や次の行動を推理しようと試みた。そして、彼女は犯人が報道によって挑発されただけでなく、何かを訴えかけようとしていると感じた。


翌日、つぼみは犯行現場の近くで偶然、目撃者を見つけた。その証言によると、犯行当夜、不審な行動をする一団を見かけたという。この情報から、つぼみは犯人が単独で行動しているのではなく、何者かと協力している可能性があると推測した。


この新しい情報を基に、つぼみは犯人の特定と捕捉に向けての捜査をさらに強化することを決意。彼女は地元警察と連携を取り、犯人の可能性のあるグループについての情報収集を急いだ。真実を暴くための時間が刻一刻と迫っている中、つぼみはこの挑戦が自分の限界を超えた試練であると感じつつも、止まることなく前進し続けた。

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