第11話 暴かれた過去

水松つぼみは小屋から持ち帰った手帳と証拠をもとに、捜査をさらに深めていった。八甲田山の寒風が彼女の顔を刺す中、彼女は事件の核心に迫る決意を固めていた。


手帳に記載されていた名前と日付を元に、つぼみとその父、県警本部長の水松康夫は共に、失踪した環境活動家たちとこの政治家の関連を探る作業を進めた。活動家たちが失踪した時期と手帳に記載された日付が一致していることから、彼らがこの小屋で何らかの形で関与していたことが疑われた。


一方で、つぼみは政治家がかつて関与していた開発計画についても更なる調査を進めた。彼女は地元の図書館で開発計画に関する資料と過去の抗議活動に関する記事を精査し、地元コミュニティに与えた影響の大きさを理解し始めた。開発計画が中止に追い込まれたのは、この政治家にとって大きな損失であり、その背後には複雑な金銭的利益が絡んでいることが明らかになった。


その夜、つぼみは父と共に、政治家の過去の行動についてさらに情報を集めるため、地元の議会の記録を調べた。そこで、彼が特定の企業と頻繁に接触していた記録を発見し、それらの企業が開発計画に深く関与していたことを突き止めた。これらの発見が、事件の動機と繋がり始めていた。


次の日、つぼみは小屋に再び訪れ、さらなる証拠を探した。小屋の隅に隠されていた古い録音機を見つけ、そこには政治家と思しき人物と活動家たちとの間で行われた会話の記録が残されていた。この録音には、開発計画の中止を巡って争い、そして活動家たちへの脅迫が含まれていた。


この録音を聞いたつぼみは、ギロチン仮面の正体がこの政治家である可能性が高いと確信し、これを証拠として法的な手続きを取る準備を始めた。しかし、その中で、彼女は自身もまた危険にさらされる可能性があることを痛感していた。この犯人は自らの秘密を守るためには何でもする人物だった。


事件が解明されつつある中、つぼみは真実を暴くためのリスクと向き合いながら、次の一手を慎重に計画した。彼女の心は、真実を暴くための使命感で一杯で、これからの挑戦に備えていた。

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