第2話 消えた痕跡
霧が晴れた八甲田山は静かで、朝の光が雪をキラキラと輝かせていた。水松つぼみは前夜の出来事を思い出しながら、小屋への道を再び辿っていた。彼女の心は疑問でいっぱいだったが、恐怖は感じていなかった。探偵としての彼女の好奇心がそれを上回っていた。
小屋に到着すると、その扉は依然として開いたままだった。中に入ると、夜の間に何かが動いた形跡はなく、昨夜見たばかりのギロチンが静かに佇んでいた。その冷たくて鋭い刃は、何者かによって何度も使われた痕があり、つぼみの目はその光景に釘付けになった。
彼女は周囲を注意深く調査し始めた。壁には古びた写真がかけられていた。写真の中の人々はどこか厳しい表情をしており、何かを訴えかけるようだった。つぼみはその写真の一つ一つを慎重に見ていき、それぞれの人物が誰であるかを記録し始めた。
その時、小屋の隅で紙束を見つけた。それは日記のようで、古びたインクで記された文字が目に入った。「彼らは知らない... 私が何を見たかを...」という一節が彼女の注意を引いた。日記は不明な人物によって書かれたもので、数十年前の日付が記されていた。
つぼみはその日記を手に取り、ゆっくりとページをめくりながら、書かれた内容を理解しようと努めた。その記述は、山の中で行われた秘密の儀式や、失われた宝物、そして禁じられた恋について触れていた。
彼女が日記を読み進めるにつれて、八甲田山がただの山ではなく、深い秘密を隠し持っている場所であることが明らかになっていった。そして、その秘密が現代に至るまで影響を及ぼしていることを示唆していた。
日記を手に、つぼみは小屋を出た。彼女は次に何をすべきかを考えながら、山の景色を見渡した。そして、その美しさの中に潜む暗い真実を暴くための旅が、これからも続くことを知っていた。
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