八甲田山のギロチン仮面
星咲 紗和(ほしざき さわ)
第1話 霧の中の影
寒風が八甲田山の雪を舞い上げる。青森県警本部長の娘である水松つぼみは、大学の図書室で犯罪心理学の教科書に目を通していた。彼女のスマートフォンが振動すると、画面には父からのメッセージが表示された。
「緊急連絡。八甲田山で再び怪事件が発生。詳細は後ほど。」
つぼみは息をのむ。八甲田山での連続不審死は、彼女がまだ高校生だった頃からの未解決事件だった。それが、再び表面化しているというのか。
彼女は教科書を閉じ、大学を後にした。外はすでに冬の夜が訪れており、冷たい風が彼女の頬を刺す。彼女は車を走らせ、山へと向かう。八甲田山のふもとに着くと、その日のうちに設置されたばかりと思しき警告看板が目に入った。
「ギロチン仮面にご注意」
つぼみは車を停め、山の入り口で深く息を吸い込んだ。霧が濃く、視界はほとんどなかった。だが、彼女は決して引き返すことはなかった。勇気と好奇心が彼女を前に進ませる。車のトランクから懐中電灯を取り出し、厚手のコートを着込み、山へと足を踏み入れた。
数時間の捜索の後、つぼみは小さな小屋を発見する。その扉は開いており、中からは異様な冷気が漂っていた。彼女が懐中電灯の光を中に向けると、その光が何か金属製の大きな物体に反射した。近づくにつれ、その正体が明らかになる。
それはギロチンだった。
その瞬間、背後から物音が聞こえた。つぼみは振り向き、懐中電灯をその方向に向ける。霧の中、ぼんやりと人影が見えた。人影は一瞬にして消え、静寂が山を覆った。
「ギロチン仮面...?」つぼみはつぶやき、その謎を追う決意を新たにした。
この夜、物語は始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます