第3話 追憶の森

水松つぼみは、八甲田山の深い霧を抜け、古びた日記を携えて街に戻った。その日記の内容が示す秘密の重みは、彼女の肩に重くのしかかる。街の図書館に向かう途中、彼女の心はずっと昨夜の影と、ギロチンの冷たい輝きに引き戻された。


図書館に到着し、つぼみは地元の歴史について研究を始める。彼女は特に、日記に記された日付と一致する年代の新聞記事や記録を調べ上げた。その中に、八甲田山で行方不明になった一群の若者に関する記事が見つかる。彼らの失踪事件は、長年解決されていなかった。


記事を読み進めるうちに、つぼみはその失踪した若者たちが、日記の主と何らかの繋がりがあることを感じ取った。彼女はその直感を信じ、さらに深く掘り下げる決意を固める。


図書館の資料を一通り調べた後、つぼみは再び八甲田山へと向かった。今回は特定の場所を目指していた。日記の中で繰り返し言及されていた「追憶の森」と呼ばれる場所だ。地図を頼りに、彼女はその森を見つけ出す。


「追憶の森」は八甲田山のあまり人が足を踏み入れない一角にあり、古木が密集して静かな雰囲気を漂わせていた。つぼみはその森を歩き始めると、不思議な感覚に包まれる。まるで過去の出来事が、木々の間に残っているかのようだった。


森の奥深くで、つぼみは小さな祠を発見した。祠の前には古びた供物と思しきものがいくつか置かれている。彼女はその祠に手を合わせ、失踪した若者たちの安息を祈った。


その時、突然の風が祠の奥から古い手紙一通を飛ばしてきた。つぼみは手紙を拾い上げ、慎重に封を開ける。手紙には、日記の主から失踪した若者たちへの未送信のメッセージが書かれていた。「私たちの秘密は、この森に永遠に眠ることになるだろう。」


この発見によって、つぼみはさらに多くの疑問を抱く。しかし、彼女は一つ確かなことを理解した。この森が、ギロチン仮面の謎に深く関わっているという事実を。そして、その真実を解き明かす鍵が、この地にあることを。

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