7年間付き合ってた彼女が寝取られた挙句、ハメ撮り動画も送られてきた話

7年間付き合ってた彼女が寝取られた挙句、ハメ撮り動画も送られてきた話

 高校生の頃から付き合ってた彼女がいた。

 同じ大学に進学し、一緒に同棲。

 んでんで、大学四年生の冬だった。

 俺も彼女も無事に就活を終わらせ、残るは卒業するのみとなった頃合い——。

 彼女の帰りが遅くなってきた。

 更には、時折、朝帰りすることも。

 何があったのかと訊ねても、「ごめん。友達の家に泊まってた」とか「夜勤だった」とか言われて、毎回誤魔化されてしまった。


 で、あの日はクリスマスイブだった。

 毎年クリスマスイブは一緒に過ごすのが恒例行事で、俺は一人パーティの準備をして彼女の帰りを待っていた。

 しかし、彼女はその日も帰ってこなかった。何が起きたのかと不思議に思い、俺は何度も彼女に電話を掛けた。

 全く繋がらなかったものの、LIMEには既読だけが記されていた。

 それから少し経ったのち——。


 一本の動画が送られてきた。

 それは、俺が知らない彼女の姿だった。

 俺が知らない男に犯される彼女の姿。

 それも抵抗を試みようとする気は全くなく、自分から行為を求めるメス化した彼女の姿であった。

 気持ち悪くなり、俺はその場で吐いた。

 自分があんなにも愛した彼女が、自分が全く知らない男と関係を持っていた。

 その事実が無性に悔しかったし、一体自分の何がいけなかったのかと疑問に思った。

 その日、俺は何度も涙を流し、夜を明かした。気付けば、窓から眩しい光が差した。

 時刻は10時を指す頃、彼女が家に帰ってきた。動画内で見せたあの性に溺れた姿の彼女ではなく、普段通りクールな姿であった。


 あの動画は嘘だったんじゃないか。

 あの動画は俺の夢だったんじゃないか。

 そう信じて、彼女に喋りかけると——。


「…………ごめん。これ以上喋り掛けないで」


 拒絶された。

 彼女は気持ち悪いものを見たとでも言うように、眉間に皺を寄せ、部屋にある私物を掻き集めていく。

 一体何をするのかと訊ねると——。


「あの動画を見てもまだわからないの?」


 彼女は引きつった笑みを浮かべた。


「あたしたちの愛はもう終わったんだよ」


 そう告げて、彼女はスーツケースに私物を入れて、俺たちの愛の巣を出ていった。

 一人その場に残された俺は蹲み込み、嗚咽を漏らした。

 これは風の噂で聞いた話に過ぎないが。

 彼女は、俺の束縛行為に我慢できなかったそうだ。実際俺は恒例行事と言い、恋人同士の思い出を作ることが多かった。彼女の帰りが遅いと心配になって、怒ったこともあった。

 ただそれは彼女のことが本気で心配だったからこそなのだが……それがどうしても彼女には苦痛に感じて仕方なかったそうだ。


 実際、今までにも彼女から別れ話を切り出されたことがあったものの……。

 俺はそれを全て断っていた。

 本気で彼女と結婚しようと考えていたから。本気で彼女との未来を見据えていたから。それなのに彼女は俺との未来など全く見ていなかったのだ。だから——。


 俺と別れるために、ハメ撮り動画まで送り付けてきたってわけだ。

 こうすれば流石に千年の恋も呆れてしまうだろうとね。

 ただ、残念だから、俺は今でも彼女のことが好きで好きで堪らない。

 彼女が最後に送ってくれたあのハメ撮り動画を見て、今日も俺は一服を満たした。

 そして、明日も明後日も、彼女と共に。

 いつの日か、自分が朽ち果てるまで。



【完結】




◇◆◇◆◇◆


作家から


 こーいうお話が大好物すぎる。

 もっとたくさんこんな不幸話書きたい。

 今までずっと隠してきたけど、私はこーいう悪趣味なお話が好きで好きで堪らない。

 プロトタイプ作品なのでストーリーを端折って書いてるけど、こーいう作風大好き!

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