怖い話「おじいちゃんの家のニオイ」
怖い話「おじいちゃんの家のニオイ」
「あ、これ。おじいちゃんのニオイだ!」
出張中に訪れた街で、私は偶然にも懐かしいニオイを感じ取った。
私はおじいちゃんの家のニオイが好きだった。毎年夏と正月にだけ母方の実家へと帰り、そこで長期間過ごすのである。
おじいちゃんの家は農家をやっており、美味しい野菜を食べることができたし、私が来ると、毎回大好物のすき焼きが食べられた。
おじいちゃんの家近くには、野良猫が住んでおり、よく家の周りを歩いていた。人懐っこい猫で、私にもすぐに懐いてくれていた。
ただ、おじいちゃんを見かけると、猫たちは飛び跳ねるように逃げていたっけ。
おじいちゃんは身長が高かったし、猫たちもビックリしてたんだと思う。
今でも思い返すけど、本当におじいちゃんの家で過ごした時間は掛け替えがないものだ。
沢山外で遊んで、疲れたらアイスやスイカを食べて、時々はおじいちゃんの畑仕事を手伝って、夕飯はたらふく飯を食べて——。
あぁ〜本当に幸せだったなと思う。
でも、悲しいこともあったんだよね。
自分の家に帰る日の前。
私は猫たちにお別れを告げたかったのだが、彼等は能天気な奴等。自分本位な性格なので、お別れを告げられなかったのである。
来年また会えるかなと思ったけど、結局会えなかったんだよね。
そんな子供の日を懐かしいと思いながら、私はニオイの発信源はどこを突き止めた。
それは——ペット霊園でした。
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