中学時代、厨二病を拗らせた俺たちがスクールカーストをぶっ壊した話

 時は中学時代まで遡る。

 思春期真っ盛りだった俺はコードギアスにどハマりしていた。

 俺もルルーシュみたいな頭が良い男になりたいと思っていた。

 だが、俺を取り巻く悪の組織と呼べる連中もいなくて……。


 俺は飢えていた。

 自分の力を示す場所を。

 自分の隠された力が発揮できる場所を。

 そんな悶々とした感情を抱いていた、中学二年生のGW明け!!


 クラスの一軍連中が地味系な女子をイジメるようになった。

 地味系な女の名前は、今後「長門」と表記させてもらう。

 理由は単純で、涼宮ハルヒの憂鬱に出てくる長門に似てるからな。

 で、その地味系女子は自分から喋るタイプではなかった。

 更には、ちょっと天然というか不思議ちゃんな部分があり、その点に関して、一軍連中からバカにされ、イジメの標的になっちまったわけである。

 学生時代のイジメなんてものは、そんなものである。


 それに、中学生ってのは、誰かを批判することが大好きなのだ。

 全員で仲良くするのが大嫌いで、少し悪い感じがある自分自身に酔いしれていたのだ。その結果、奴等のイジメは日に日にヒートアップしていったわけだ。


 で——。


 俺は教室内のイジメを見て見ぬフリをしていた。

 誰だって、変なことに自分から関わろうとはしないだろ。

 実際、変に関わって、次は自分がイジメの標的にされるのはバカだからな。

 でも、教室の片隅で、彼女がイジメられている。そんな事実があり、俺は苛立ちが日に日に積み重なっていた。ここまで奴等のイジメは陰湿なのかとね。


 で——。

 テスト期間中のある日。

(テスト期間中は部活動停止になるし、学校も早めに終わる)

 でも、家に帰って勉強をするわけでもない俺たちは自転車に乗って、釣りへと出かけていた。俺たちとは言っても、俺を含んでも、3人しかいないんだが。


「最近さ、長門イジメられてるよな?」


 釣りをしている間、暇になる。

 魚が釣り針に出てくるまでに時間がかかるのだ。

 俺たちは適当な話題を出し合って、盛り上がっていた。

 で、そのとき、長門の話になっても、当然の結果であった。


「デュフフっフフフフ、もしかして……ライト氏は長門氏のことが好きなのかな?」


 見るからに太めで、メガネを掛けている男が話しかけてきた。

 ちなみに、自転車を漕ぐのだけは早い。あと、授業中におかしをボリボリ食って、何度も注意されたことがある。

 今後、こいつの名前は、ダルとする。理由は、シュタゲのダルに似てるから。

 実際、ダルと表記するだけはあって、コイツは機械いじりのプロ。自分で黒サビラジオとか、トランシーバーとかを作れるぐらい凄い奴。


「なるほど〜。ライト氏にも、遂に春が来たでござるか」


 ダルの発言を聞いたあと、すかさずに、ヒョロガリな男が言った。

 今後、コイツの名前は、緋村抜刀斎とする。

 その理由は、るろうに剣心に憧れて、剣道部員になったから。

 ちなみにドM。可愛い女の先輩に竹刀で打たれて喜んでいた。


「いや……俺は別に……長門のことなんて」


 嘘だった。

 俺は長門のことが好きだった。

 好きとは違うな。ちょっと気になるあの子とでもいうのか。

 男ってのは少しミステリアスな女の子を好きになってしまうのだ。


「まぁまぁ、落ち着くでござるよ、ライト殿」


 ライト殿。

 ちなみに、それが俺の名前。

 理由は、授業中に自作デスノートを書いてたことがバレたから。

 で、それからあだ名は、夜神月と呼ばれるようになった。

 その一見以来、怒らせたらヤバイ奴、女子の間では「気持ち悪い」と言われている。


「拙者も、教室を脅かす一軍連中には一言物申したいでござるよ。弱いものをイジメるなど、本当にやってはならん。武士道を持つ者として許せないでござる」


 抜刀斎に同調するように、ダルも続けた。


「僕も一緒だにゃ〜。一軍連中には日頃から恨みがあるからなぁ〜。特に、僕がそばにいるだけで、『くさい』『きもい』『汚い』とか散々言ってくるからにゃ〜。こっちも、アイツらの横暴な態度には苛立っていたんだよなぁ〜」


 で、俺は二人の顔を見ながら。


「あのさ、俺たち三人で荒れた教室を変えない?」


 二人は、俺の意見に賛同した。

 面白そうだと言って。

 全員が全員厨二心を持っていたのだ。


 一人は、気になるあの子を助けるために。

 一人は、自分の武士道を貫くために。

 一人は、日頃からの鬱憤を晴らすために。


「よしっ。手始めに、一軍連中のイジメをぶっ壊そうぜ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る