第十五章 喫茶店で とある事件を話すJKの会話
19〇〇年。とある男が中学時代の同窓会を開き、その会場に来た元同級生達に、農薬入りのワインを飲ませ、15名が死亡、14名が意識不明の重体になるという事件が発生した。
調べによると、男は、中学時代に同級生からイジメを受けており、その復讐の為に、この計画を立てたという。
そんな事件が随分前にあった。
その事件の事を話すJKが喫茶店で、珈琲とケーキを注文して話していた。
「よく人とか殺せるよね〜。」
涼子は、そう言いながら、ケーキを食べ珈琲を喉を鳴らして飲み込んだ。
「まぁ……殺したいという気持ちは分からないでもないな。」
静かな口調で言う早苗を涼子は、目を丸くして驚いた顔で見つめた。
「やだ〜、早苗こっわぁ〜!」
馬鹿みたいに笑いながら身を震わせる涼子を早苗は、冷めた瞳で見つめていた。
「いくら頭にきたからって、殺しちゃダメでしょ〜。」
「そう……かな……?」
「あっ……そういえば、早苗、昨日お小遣いもらったんでしょ?ここの支払い、よろしく〜!私さぁ〜、今、金欠なんだ〜。」
そう言って舌をペロッと出した涼子に、早苗は、呆れたように息をついた。
「この後、カラオケに行かな〜い?思いきり歌おうよ〜。」
涼子は、そう言うと、カバンを手に持ち立ち上がった。
「……カラオケ代、誰が払うんだよ。」
「えっ?なんか言った〜?」
小声で早苗が言ったのが聞こえなかったのか、聞こえないふりをしたのか分からないが涼子は、口元に笑みを浮かべた。
「涼子。私、支払い済ませて店出るから、先に行ってて。」
「ああ、分かった〜。じゃあ、外で待ってるね〜。」
涼子が店を出た後、早苗は、カップに残った珈琲を静かに飲み干す。
「殺された方も悪いよね?私も……殺しちゃおうかな……?」
呟く早苗の口元には、笑みが浮かんでいた。
ー第十五章 喫茶店で とある事件を話すJKの会話【完】ー
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