第七章 正義感の強い殺人鬼




小学生の時、クラスに意地悪な男の子がいて、いつも私に嫌がらせをしていた。

筆箱を隠されたり、上靴をびしょ濡れにされたり、スカート捲りをされたり、私は、その子が大嫌いだった。その子の名前は、確か智(さとる)だったかしら?


ある日。学校へ向かう途中、横断歩道で信号が青になるのを待っていた智の背中を押した。

「おはよう」と声を掛け、少し強く背中を押したら、智はフラフラと前によろけて、走ってきた大型トラックに跳ねられた。

一瞬、何が起こったのか分からないという顔をした智は、宙を舞って、そして地面に強く叩きつけられた。

グシャと変な音が響いて、智の身体は、面白い程、いろんな方向に曲がっていた。

私は、もう意地悪をされる事はなくなった。


中学の時も、私に意地悪をする子がいた。

小学校の時に引っ越した私は、中学に入って知らない人ばかりだったので、友達がいなかった。

同じクラスの夏海(なつみ)という女の子。

夏海は、よく私を学校の屋上に呼び出して、殴ったり、お金を取ったりしていた。

私は、夏海が大嫌いだった。

ある日。いつものように夏海に呼び出されて、屋上に行ったら「あんたなんか死んじゃいな。」と言われ、屋上から、落とされそうになった。

私は、必死に体勢を整えて、夏海の制服を思いきり引っ張った。

すると、夏海は、フラフラと体勢を崩し、屋上から落ちていった。

パンッと何かが弾けるような音が響き、夏海の身体は、バラバラになった。

頭は割れ、脳が飛び出て、手も足もちぎれていて、人間って、あんなにもバラバラになれるんだと思った。



時が流れ、大学を卒業した私は、教師になった。

教師になる事は、私の夢だった。

教師になって、生徒達に、教えるんだ。

「いいですか、みなさん。イジメは悪い事です。イジメのない楽しいクラスにしましょうね。」

小学一年生のあどけない顔をした生徒達。可愛い。

私は、この子達を幸せにする。絶対に。

「イジメを見て知らん顔をしているのも、イジメをしているのと同じです。イジメを見たら、すぐに先生に知らせる事。」

「はーい!!」

元気良く返事をする生徒達。

「もしも、先生に知らせる勇気がない人は、その時は…………相手を殺せばいいんです。いいですね。これは、悪い事ではありません。悪を懲らしめる正義なのです。分かりましたか〜?」










「はーい!!」

クラス全員が元気良く返事をした。このクラスは、いい子ばかりだ。







ー第七章 正義感の強い殺人鬼【完】ー

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