ビッグバトル! 6


   **


 独裁政権を打ち倒し、戦いは全て終わった。


 だが、男は世界の表舞台から去った。


 なぜなら幼なじみにして許婚の女性は発狂していたからだ。


 男の残り人生は、その女性の世話に費やさなければならなかった。


「あれは元に戻らんぞ……」


 男のライバルはつぶやいた。


 このライバルの協力なくして、独裁政権を打ち倒す事はできなかった。


「あ、あたしはもういい……! 彼が元気なら……!」


 男の恋人は泣き崩れた。


 彼女は愛する男から決別を告げられた。


 もはや二度と会う事はないのだ。


「これは呪いだわ……」


 もう一人の美女は、青空に飛び立った飛行船を見上げた。


 この美女も男に恋していた。


 三角関係の日々すらが遠い昔の幻のように思われた。


 ライバル、恋人、美女の三人は、大勢の見送りの者達と共に、男を――


 英雄を乗せた飛行船が、青空の彼方に消え去るのを見送った……






「……は?」


 ゴヨウの意識は目覚めた。


 彼は百八の魔星の最高機密「ヘッドガン」のコックピット内にいた。


 彼は前世の夢を見ていた。


 ライバルはチョウガイに、恋人はコーエンに、美女はリッキーの面影があった。


「……そうやって縁は繋がるんだな」


 ゴヨウはコックピットで苦笑する。


 百八の魔星の一人、天の機(はたらき)を知る宿星に産まれた天機星「智多星」ゴヨウ。


 彼はさらなる戦いに臨むのだ。


 バーチャルゲームのバトリングから去ったのも、巨大な鳴動を感じたからだ。


 異空間に現れた巨大な機械の要塞、パイロンタワー。


 地上四百階という途方もない巨大さだ。


 このパイロンタワーの内部に、不気味なエネルギーがうごめいている。


 それは人類の未来に影響を及ぼすほどだ。


「パーティーやろうぜ、ブルックリン!」


 ゴヨウはヘッドガンの電子頭脳ブルックリンに呼びかけた。


 ヘッドガンは荒野を疾走し、パイロンタワーへと突き進む。


 パイロンタワーからの光魚雷攻撃をチェーンガンで撃ち払う。


 ゴヨウの戦いは続く。

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