狂気的な彼女1
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百八の魔星の守護神、托塔天王チョウガイ。
百八の魔星の一人、天間星入雲龍ソンショウ。
二人は圧倒的な強さで混沌との戦いに勝利し続けているが、致命的な弱点がある。
それは女に弱いという事だ。
「きゃあー、チョウガイ様!」
フランケン・ナースのゾフィーは悲鳴を上げた。
今日はチョウガイとのデートなので、胸元の開いた衣服だったが、まさかそれだけで彼が鼻血を吹くとは。
「あんたさあ、何処に連れてってくれんのよ」
「今日は楽しみだわ〜」
「ねー、会長の甲斐性が楽しみですね〜」
と、ギテルベウス、さくら、こゆきの三人娘を前にソンショウは蒼白だ。
三人に回らないお寿司をおごるのは男の甲斐性だが、すでにソンショウのキャパシティを越えている。
そんな有り様だ。これは混沌の勝利と言えるかもしれぬ。
この宇宙の秩序と混沌、光と闇、男と女、その闘争に混沌が勝利すれば宇宙は暗黒に呑みこまれる。
いや、それは新たな宇宙の始まりかもしれないが――
混沌の意思は人の形を為して、人間世界の地球(テラ)にやってきた。
かつて混沌はゴヨウに驚愕した。
ゴヨウならばあるいは?
人類の未来に何かの答えを出せるのではないか?
混沌にはそう思えるのだ。
「どれ、奴を待つとするか……」
混沌の意思は女の子の姿となり、アバキハラという煩悩の地に降り立った。
白いワンピース姿で改札口に立つ彼女を男達がジロジロ見ている。
やがて、ゴヨウが改札口から出てきた。
彼はお目当ての本を買いに来たのだ。
「お、おほん!」
混沌は咳払いした。頰が紅潮し、胸の高鳴りを抑えられない。
宇宙開闢から存在し続ける混沌は、今初めて恋を知った。
「さーて、あれを買わなくちゃ!」
ゴヨウは混沌の側を駆け抜け、目指す本屋へ向かった。
豪快にスルーされた混沌はぶちギレした。
「おるあああ!」
混沌はゴヨウの足に背後から組みつき、豪快なドラゴンスクリューで転倒させた。
「な、なんだ、なんだ!?」
「貴様というやつはー!」
ゴヨウと混沌。男と女。光と闇。
二人の出会いはドラゴンスクリューから始まった。'
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