第14話 水を湛えた水田

 お知らせが遅くなってしまいました。一週間ほど前の大雨の日を境に、水門を開けたのか、閉ざしたのか、徐々に田んぼにお水が入りました。干からびた畑状態の土地が昔ながらの満々と水を湛えた水田へと景色が変わって、ようやく稲だなと確信が持てました。

 日本の農村風景と言った感じ満載です。風が吹くとサワサワと水面が揺れ苗がたなびきます。と同時に、すごい勢いでカエルが啼き始めました。この田んぼにどれだけの種類の両生類がいるんだろうと姿を見せない声だけの主の勢いに圧倒されています。朝は風がそよいで涼しいです。

 多分、お水のない状態の田んぼで何週間も育った苗たちは、しっかり根を張り一つ一つが揺るぎない苗になっているのだろうと想像されます。そこへお水が一気に入って従来の水耕稲になって、丈夫に栄養をたくさんもらって育っていきそうです。

 麦もそうですがあれだけ背の高い茎が一本一本倒れずに真っ直ぐ育つには苦労も多いのではないかと思います。1メートル近くある苗が相当な台風が来ない限りスクっと立ち続ける姿は美しい。そんな稲の一生の始まりです。

 団地の周りをぐるっと田んぼに囲まれた我が家の生活は、この環境で刻々と営まれていると言っても大げさではありません。日々景色が変わり、季節ごとの仕事を毎年確実にこなして収穫の日を迎えるまで、見守る楽しさが今年も始まりました。

 

 

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