第13話 直播農法
そう言えばたまたま犬の散歩で一緒になったおじさんが驚きの話をしてくれました。最近は水を張った田植えをしないそうなんです。(その後あちこちの田んぼを眺めていたんですけど、ここだけなのかな?他の田んぼには水がはられていてこんな田んぼは見かけません)
私はあの初夏の苗をまだ植えてない水だけの田んぼが大好きで、広大な海が町の中に突如出現したみたいな感動を毎年感じて、風に吹かれて喜んでいたもんなんですが…
普通に苗を作って耕運機で植えながら進む今までのやり方とちがって『直播』と言っていたので耕運機を使って種を巻いて畑のように育てる米なんでしょうか。水のないヒビの入ったような田んぼに真っ直ぐ稲のように並んで伸びている苗はいつもどおりきちんと並んでいます。
もう5月になって苗も10センチくらいに成長しています。でも田んぼにはお水がなくて、まるで麦のように育っているんです。
このあたりは電照菊が盛んな地域だったんですが、菊作りを止めてソーラーファームにする人や、麦畑にする人が増えました。近所の畑好きだったおじいさんも半分畑で半分菊畑を作っていたのに、止めて今は一面の麦畑になっています。
それやこれやで水の無い田んぼを眺めて田んぼも畑に替えて麦を栽培するのかな?と思って不思議がっていたら、そのおじさんが『直播米作り』と説明してくれました。
我が家の周りは珍しくも田んぼに囲まれた団地なんですが、考えてみれば未だに蛙の声が聞こえなくておかしいなと改めて感じて、友達とそんな話をしながら『え!ひょっとして蛙の声がうるさいからだんだん水田農法が変わって行くの』と考えすぎて悲しくなりました。
このところ世代交代を繰り返す我が団地は、古い家が取り壊されて新しい家に変わっています。どこかしこから槌打音が響いてきてワクワクする気分です。近くにある幼稚園から子供の声やマーチの練習の太鼓やハモニカの音も響いてきます。
こういう声をうるさいと言う人が多くなったら、また街が変わっていくのでしょうね。水のない田んぼはこの先どうなるのか、またお知らせします。
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